人事労務で使えるおすすめ資格15選|労務管理の効率化の方法とメリットも解説

更新日 公開日 2025/10/03

人事労務の分野では、専門知識とスキルが求められる業務が多く、資格取得はその証明として非常に重要です。

資格習得を通じて、実務で役立つ幅広い知識を身につけることができ、日々の業務効率化や専門性の向上にもつながります。他にも、年収アップや転職市場での評価向上、日々の業務効率化、さらには独立開業などにつなげられるといったメリットもあります。

本記事では、人事労務業務において実務で活かせるおすすめの資格を紹介します。また、資格を選ぶ際のポイントや、実務にすぐ活かせる人事系・労務系・キャリアアップ系の資格情報も網羅。幅広い視点から労務管理の効率化の方法について役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

人事労務の資格を取るメリットとは?

人事労務の資格を取得することで、専門知識を活かして業務効率を高められるほか、キャリアアップや将来的な独立開業の選択肢も広がります。

ここでは、人事労務の資格を取る大きな3つのメリットを紹介します。

1.年収アップに直結する専門性が身につく

資格を取得することで、人事労務分野における専門性が高まり、市場価値の向上につながります。特に社会保険労務士などの資格は、労務管理や社会保険手続き、労働相談など幅広い実務に直結し、即戦力として評価されやすい点が特徴です。

専門知識を備えた人材は企業にとって貴重であり、採用や昇進の場面で有利になることも少なくありません。その結果、キャリアの選択肢が広がると同時に、年収アップにもつながりやすいです。

2.転職市場での評価が大幅にアップする

資格を保有していることは、転職の際に大きな強みになります。特に人事労務分野は法改正が頻繁にあり、最新の知識を持つ人材が重宝されるため、資格取得者は即戦力として高い評価を受けやすいです。

また、資格は専門性だけでなく「学習意欲が高く、自己研鑽を怠らない人材」という姿勢の証明にもなります。応募時のアピール材料として、選考で他候補者との差別化を図ることができ、転職成功率を高める要素となります。

3.日々の業務効率が改善される

資格取得を通じて得られる知識は、日々の人事労務業務の効率化にも直結します。

たとえば、社会保険手続きや給与計算に必要な法的ルールを体系的に理解していれば、確認作業や修正の手間を大幅に削減可能です。また、労働基準法や関連法規の知識を持つことで、トラブルの未然防止や迅速な対応が可能になり、無駄な業務負担を回避できます。

結果として、正確性とスピードを両立した業務遂行が実現し、組織全体の生産性向上にもつながります。

4.独立開業で自分らしい働き方が実現できる

社会保険労務士などの人事労務系資格は、将来的に独立開業を目指せる点も大きな魅力です。企業で実務経験を積んだ後に開業すれば、労務管理や社会保険手続きの専門家として幅広い企業をサポートできます。

独立後は顧問契約を中心に安定した収入を得られる可能性があり、働く時間や場所を自分で選べる自由度の高さも特徴です。会社員としての枠にとらわれず、自分らしい働き方を実現できるキャリアの選択肢が広がります。

人事労務の資格選び3つのポイント

人事労務の資格を取得する際には、単に資格の有無だけでなく、自分の業務やキャリアにどれだけ活かせるかが重要です。

ここでは、資格選びで特に押さえておきたい3つのポイントを分かりやすく解説します。

ポイント1:今の仕事にすぐ活かせるかで判断する

資格選びでは、まず「今の業務に直結するか」を基準に考えることが重要です。たとえば、労働法や社会保険の知識が不足していると感じるなら社会保険労務士、社員のストレス対応が課題であればメンタルヘルス・マネジメント検定が有効です。

現場で直ちに活かせる資格を取得すれば、実務改善に役立つだけでなく、上司や会社からの評価も高まりやすくなります。学習にかけられる時間や難易度も踏まえ、現実的に成果につながる資格を選びましょう。

ポイント2:学習時間と取得難易度のバランスを見る

資格取得を目指す際は、学習時間と難易度のバランスを意識しましょう

難関資格は専門性が高い分、長期的な学習が必要となり、仕事と両立させるのは容易ではありません。一方、キャリアコンサルタントや衛生管理者のように200時間前後の学習で合格が目指せる資格もあります。後者のような資格は、働きながら計画的に取り組みやすいのが特徴です。

限られた時間の中で投資効果が高い資格を選ぶことで、モチベーションを維持しつつ着実にキャリアアップにつなげられます。

ポイント3: 将来のキャリアプランと合致しているか確認する

資格は取得そのものがゴールではなく、その先のキャリアビジョンにどう結びつけるかも大切です。自分がどの方向を目指すのかを明確にすることで、学ぶべき知識や選ぶべき資格が絞り込まれ、効率的にスキルを積み上げられます。

具体的な資格とその特徴は以下の通りです。

  • 法務(コンプライアンス)系:社労士・行政書士で労働法や規制対応を強化
  • 人材開発、教育系:キャリアコンサルタントで社員育成に活用
  • 人事部長などキャリアアップ:幅広い人事知識を体系的に学べる資格
  • 独立・コンサルタント:専門性を証明できる国家資格が有効
  • 中小企業でのオールラウンダー:幅広い実務に対応できる汎用性の高い資格

将来像を意識して資格を選ぶことで、学習のモチベーションも維持しやすくなり、キャリア形成に直結する力を得られるでしょう。

【人事系】おすすめ資格8選

人事分野の資格は、採用や育成、評価制度の構築など幅広い業務に役立ちます。ここでは人事担当者に特におすすめの8つの資格を紹介します。

1:キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、2016年に国家資格として創設された「キャリア支援の専門家」です。社員の職業選択や能力開発に関する相談に応じ、適切な助言を行う役割を担います。

従来の年功序列型雇用から自律的なキャリア形成へと移行する中で、企業内における重要性が高まっています。人事担当者がこの資格を取得すれば、社員との面談を通じて適性や将来像を一緒に考え、適切な助言を行うことが可能です。採用・人材育成の質の向上にもつながります。

参考:国家資格キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター|厚生労働省

2:人事総務検定

人事総務検定は、一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催する民間資格で、人事・総務分野の知識や実務能力を体系的に学べる検定です。

3級(担当者レベル)、2級(主任レベル)、1級(課長レベル)と段階的にスキルを習得できる点が特徴で、基礎から応用、マネジメントまで幅広く対応しています。

就職・異動を目指す人だけでなく、既に人事総務に携わる方のスキルアップにも有効です。社会保険労務士試験の学習にも役立つ実践的な内容が含まれています。

参考:一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会

3:メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場のストレスや心の健康に関する知識を証明する民間資格です。Ⅰ種(マスター)、Ⅱ種(ラインケア)、Ⅲ種(セルフケア)の3段階に分かれ、一般社員から管理職、経営層までそれぞれの立場に応じた学習が可能です。

受験者はストレスの早期発見や対処法、職場全体のメンタルヘルス改善に必要な知識を身につけられ、社員の心身の健康維持や生産性向上、職場環境の改善に直結するスキルを習得できます。

参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験 | 働く人たちの心の健康と活力ある職場づくりのために

4:産業カウンセラー

産業カウンセラーは、従業員のメンタルヘルスや職場での悩みを心理学的手法で支援する民間資格の専門職です。仕事量や人間関係などによるストレスや不安を抱える労働者に対し、面談や相談を通じて問題解決や心の安定をサポートします。

企業内では社内カウンセラーとして、人事担当者と連携しながら職場環境の改善や生産性向上に寄与する役割も期待されます。混同されやすい「産業医」は医師免許が必要ですが、産業カウンセラーは国家資格は不要です。心理面から従業員を支える重要な役割を果たします。

参考:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

5:ビジネスキャリア検定

ビジネスキャリア検定は、中央職業能力開発協会が主催する公的資格で、業務に必要な知識やスキルの習得度を評価する試験です。

以下8つの幅広い業務分野をカバーしており、職種や経験に応じて難易度を選択できます。

  1. 人事・人材開発・労務管理
  2. 経理・財務管理
  3. 営業・マーケティング
  4. 生産管理
  5. 企業法務・総務
  6. ロジスティクス
  7. 経営情報システム
  8. 経営戦略

また、BASIC級から1級まで4段階に分かれ、自己の実務能力を客観的に測定可能です。特に人事・人材開発・労務管理分野では、OJTでは学べない体系的な知識を習得できます。実務力の向上や業務効率化、社内評価アップに役立つ資格です。

参考:ビジネス・キャリア検定 : 中央職業能力開発協会(JAVADA)

6:採用コンサルタント資格

採用コンサルタント資格は、企業の採用活動をサポートする能力を証明する民間資格です。応募者の選考基準設定、面接技術、採用戦略の立案など、実践的な知識を身につけられます。

資格取得者は、求人票作成や応募者の選考、面接、フィードバックなどを通じて、企業と応募者の架け橋として活躍できます。人事・労務の専門性が高まり、社内での評価や転職市場での競争力アップにもつながる資格です。

参考:一般社団法人 総合経営管理協会|採用コンサルタント講座

7:外国人雇用管理主任者

外国人雇用管理主任者は、企業で外国人労働者を雇う際に必要な知識やスキルを持っていることを証明する民間資格です。在留資格や労務管理、採用後の育成、助成金の活用まで幅広く学べます。

資格を持つことで、企業の人事担当者だけでなく、社会保険労務士や行政書士なども、外国人雇用のサポート役として信頼されやすくなります。採用から育成まで、外国人労働者に関わる一連の業務をしっかり支援できるようになる資格です。

参考:外国人雇用管理主任者

8:給与計算検定

給与計算検定は、給与計算や社会保険、年末調整などの知識と実務能力を評価する民間資格です。1級と2級があり、2級では基本的な給与計算や労務法令の理解を、1級では複雑な給与体系や税務・社会保険手続きまで対応できる能力を認定します。

資格取得者は給与計算業務の正確性と信頼性が証明され、企業の人事・総務・経理部門での評価やキャリアアップに役立ちます。

参考:全国給与計算検定協会 - 給与計算の知識・実力を確認する本格的な実務検定

【労務系】おすすめ資格4選

労務系の資格は、労働時間管理や安全衛生、情報保護など実務に直結する知識を習得できます。

以下では、おすすめの資格と各概要や特徴について紹介します。

1:社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)は、労働法や社会保険制度に関する知識を活かして、企業の人事労務管理や行政手続きをサポートする国家資格です。給与計算や労働者名簿の作成、社会保険・労働保険の申請代行など、他の資格者が行えない独占業務も担います。

企業が法律を遵守しつつ健全に運営できるよう支援し、働く人の権利や福利厚生を守る専門家として、企業と従業員双方に貢献できる点が大きな特徴です。

参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

2:衛生管理者

衛生管理者は、労働安全衛生法に基づき、職場の環境改善や従業員の健康管理を担う国家資格です。一定規模以上の事業場では必ず選任が義務付けられており、健康診断の実施、安全な作業環境の整備、危険業務に関する教育などを通じて労働災害の防止に貢献します。

事業場の規模や業種にかかわらず必要とされる資格であり、企業にとっては安全衛生管理体制を整えるうえで欠かせない役割を果たす専門資格です。

参考:公益財団法人 安全衛生技術試験協会

3:労務管理士

労務管理士は、一般社団法人日本人材育成協会が認定する民間資格で、労働基準法や関連法令を踏まえた労務管理の専門知識を持つことを証明します。採用から配置、教育訓練、人事評価、退職に至るまでの従業員管理を適正に行う能力が評価される資格であり、企業の法令遵守や健全な組織運営に貢献します。

社労士とは異なり手続き代行はできませんが、実務に直結する知識を習得できる点が強みです。

参考:労務管理士受験方法|日本人材育成協会|資格|労務管理士

4:個人情報保護士

個人情報保護士は、一般財団法人全日本情報学習振興協会が認定する民間資格で、個人情報保護に関する高度な知識と実務対応力を証明するものです。個人情報保護法や関連ガイドラインを理解し、企業内での情報管理体制づくりや教育・監査などを担える点が特徴です。

情報漏えいリスクへの関心が高まる中、取得者はコンプライアンス強化や信頼性向上に貢献でき、管理部門やマネジメント層にも求められる資格です。大手企業では、社員へ同資格の取得を積極的に促す企業も増えています。

参考:個人情報保護のエキスパートを育てる 個人情報保護士認定試験│全日本情報学習振興協会

【キャリアアップ系】AI時代に対応する人事労務おすす資格3選

AI時代の到来により、人事・労務の業務内容も変化しています。

本章ではこれからのキャリアアップに役立つ、人事労務担当者向けのおすすめ資格を3つ厳選してご紹介します。

1:MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)

MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)は、WordやExcel、PowerPointといったOfficeソフトの操作スキルを客観的に証明できる民間資格です。試験はソフトごとに実施され、基本レベルから上級レベルまで段階的に用意されています。

人事労務の現場では、データ整理や資料作成などでOfficeの活用は欠かせません。MOSを取得することで、日常業務の効率化や正確性の向上につながり、職場での信頼性やキャリアの幅を広げられます。

参考:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト

2:ITパスポート

ITパスポートは、ITに関する基礎知識を国が証明する国家資格で、すべての社会人に求められるデジタルリテラシーを習得できます。AIやビッグデータ、セキュリティといった最新ITの概要に加え、経営戦略・マーケティング・法務・財務など幅広い分野を網羅しているのが特徴です。

人事労務担当者にとっても、データ活用やシステム導入を理解する力が身につき、業務効率化や戦略立案に役立つ資格です。

参考:【ITパスポート試験】情報処理推進機構

3:人事データ保護士

人事データ保護士は、一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会が認定する民間資格で、人事データの適切な管理と活用ができる人材であることを証明します。労務データや人材情報を扱ううえで必要な法律知識を備え、不正利用を防ぎながら公正に活用できることが特徴です。

AIやビッグデータを活用した人事戦略が注目される中、従業員の信頼を守りつつデータを経営に生かす専門性を示せる資格として、今後ますます重要性が高まっています。

参考:人事データ保護士 資格認定講座 | 一般社団法人ピープルアナリティクス HRテクノロジー協会

人事労務を効率化する資格以外の方法

中小企業における人事労務業務の効率化は、資格取得だけでなく外部委託やシステム導入といった方法でも実現できます。ここではその具体策について紹介します。

専門業者に委託

人事労務の一部業務は、社会保険労務士などの専門家へ委託することで効率化できます。就業規則の作成や労働時間管理、賃金制度、ハラスメント対策、メンタルヘルス支援など幅広い相談に対応可能です。

委託によって日々の業務を効率化することで、担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。

ただし、アウトソーシングには相談料や顧問料(相場は月額2万〜17万円)が発生するため、依頼内容と費用対効果を見極めたうえで活用することが重要です。。

人事労務管理システムの導入

人事労務の効率化には、専用システムを導入するのも有効です。たとえば、人事管理システムでは社員のスキルや評価を一元管理でき、最適な人材配置が可能になります。労務管理システムを導入すれば、勤怠や社会保険の手続きを自動化でき、法改正にも対応可能です。

さらに給与計算システムを組み合わせれば、複雑な計算や明細発行も正確かつスピーディーに処理できます。データ管理をペーパーレス化することで、業務全般の効率化にもつながるため、ツール導入を検討することをおすすめします。

資格を取得して、労務管理の効率化やキャリアアップを

人事労務の資格取得は、専門性の向上やキャリアアップ、業務効率化、さらには独立開業など、多様なメリットをもたらします。加えて、デジタル化が進む現代では、資格取得だけでなく、アウトソーシングや人事労務管理システムの導入も有効です。

たとえば、電子ブック作成ツール「ActiBook」では、資料・動画を誰でも簡単に配信できます。活用することで、勤怠管理、給与計算、社会保険手続き、年末調整などを一元管理することが可能です。データのデジタル化やペーパーレス化により作業時間を大幅に短縮できる点も大きな魅力です。

さらに、AIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」による問い合わせ対応自動化サービスで、従業員からの休暇申請や給与・規定関連の質問に24時間対応し、担当者の負担を軽減します。学習型AIにより回答精度が向上するため、社内情報の統一や業務改善にもつながります。

資格取得とこれらのデジタルツールを組み合わせることで、担当者は日常業務の負担を減らしつつ、戦略的な人事判断や社員サポートに集中することが可能です。

まずは自社の課題に合わせて、資格取得とシステム導入を検討し、より効果的な人事労務運営を実現しましょう。

執筆者 浦 将平

AIチャットボットのプロダクトマネージャー。

7年間にわたり、法人向けの顧客管理ツール、データ統合ツール、CMS、チャットボット、電子ブックのマーケティングを担当し、BtoB領域でのプロダクトの成長に携わる。マーケティング戦略の立案から実行までを幅広く手がけ、業務プロセスの仕組み化を得意とする。

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