社内向けチャットボットのメリットは?活用部署や導入で失敗しないポイント

更新日 公開日 2025/05/08

社内コミュニケーションの効率化や情報共有の改善に悩んでいる企業は少なくありません。

「必要な資料が見当たらない」「この手続きはどうやるの?」といった質問が日々飛び交い、従業員が本来の業務に集中できない状況が続いている場合もあるでしょう。そんな課題を解決する手段として注目されているのが、社内向けチャットボットです。

本記事では、社内チャットボット導入による具体的なメリットや活用例、導入コストと効果、さらに失敗しないためのポイントを解説します。本記事を読むことで、業務効率化や情報共有の改善に向けた具体的な知識を得られ、導入判断に必要な材料を手に入れられるでしょう。

目次

社内向けチャットボットとは?

社内向けチャットボットとは、企業内で従業員からの質問や業務のサポートの効率化を目的とした自動応答システムです。このシステムは、AIやプログラムを活用して、従業員がチャット形式で入力した質問に対し、チャットボットが事前に設定されたFAQデータベースやAIによる学習結果をもとに回答します。

チャットボットの技術は、LINEやMicrosoft Teamsなどの既存のチャットアプリと連携できるほか、企業独自のインターフェースを通じて提供される場合もあります。とくにMicrosoft Teamsとの連携は多くの企業で採用されており、既存の業務ツールと統合することで利便性の向上が可能です。

さらに、チャットボットは24時間対応可能であるため、休日や深夜でも必要な情報を得られる点がメリットです。これにより、業務効率化だけでなく、従業員満足度の向上にも影響します。たとえば、人事関連の質問やITサポートの問い合わせなど、頻繁に発生する課題に対して迅速な対応が可能です。

このような社内向けチャットボットは、中小企業でも導入しやすいコスト構造を持ち、業務効率化や情報共有の改善に大きく貢献します。そのため、DXを推進する企業にとって重要なツールとなってきているのです。

参考:【バックオフィス向け】おすすめのAIチャットボット3選

社内向けチャットボットの従業員側から見たメリット

社内向けチャットボットは、従業員の業務効率化やストレス軽減に貢献可能です。本セクションでは、従業員の立場から見た具体的なメリットを4つの観点から解説します。

1)業務の効率化:コア業務に集中できる

チャットボットは、従業員が日常的に抱える単純な疑問や問い合わせに即座に対応します。たとえば、「交通費精算の方法」や「会議室の予約状況」など、総務や人事部門への頻繁な質問を自動化することが可能です。これにより、問い合わせ対応に割かれる時間を削減し、従業員は本来注力すべきコア業務に集中でき、生産性の向上に繋がります。

株式会社ZEN PLACEではチャットボット導入後、社内問い合わせの対応にかかっていた時間を93%の削減に成功しています。このような効率化は、組織全体の生産性向上にもつながります。

参照:サポートチャットボット「店舗スタッフからの問い合わせ対応にかかっていた時間を約93%削減!スタッフに浸透しづらい会則やルールの認識統一にも効果を発揮した。」

2)ストレスの軽減:上司や同僚に聞く手間が省ける

「誰に聞けばいいかわからない」「忙しい同僚に声をかけづらい」といった心理的な負担を軽減するのも、チャットボットの重要な役割です。とくに、新入社員や内向的な性格の従業員にとっては、気軽に質問できるツールとして機能します。

たとえば、「申請書類の場所」や「福利厚生制度の詳細」を尋ねる際、人間ではなくチャットボットが対応することで、従業員は気兼ねなく質問できるのです。この結果、職場全体の問い合わせによる負担やストレスが軽減されます。

3)公平な情報アクセス:誰でも同じ情報が得られる

社内向けチャットボットは、部署や役職を問わず全従業員が同じ情報へアクセスできる仕組みを提供します。これにより、情報格差が解消され、多言語対応機能を備えた場合は外国籍社員にも利便性を確保できるのです。

たとえば、多国籍企業では、日本語以外にも英語や中国語で対応可能なチャットボットを導入することで、全従業員が平等に情報を得られる環境を整えています。このような公平性は、組織全体の一体感を高める効果も期待できるでしょう。

4)24時間対応:休日や時間帯に関係なく問い合わせができる

チャットボットは24時間いつでも稼働が可能であるため、リモートワーク中や深夜帯でもタイムリーに回答を得られます。これにより、柔軟な働き方を支援しつつ、従業員が必要な情報をタイムリーに取得することが可能です。

たとえば、深夜にシステムのトラブルが発生した際、「システムトラブル時の連絡先」を確認したい場合でも、チャットボットなら即座に案内できます。

社内向けチャットボットの経営側から見たメリット

社内向けチャットボットは、企業の効率化を支援するツールとして注目度を高めています。とくに経営層にとっては、新入社員の教育負担軽減や業務改善・情報提供の統一化・コスト削減といった具体的なメリットがあります。本セクションでは、それぞれのポイントについて解説します。

1)オンボーディング支援:新入社員の研修負担を軽減できる

新入社員の研修では、基本的な社内ルールや業務手順に関する質問が頻繁に発生します。これらは教育担当者や先輩社員に大きな負担となる要因です。しかし、チャットボットを活用することで、この負担を大幅に軽減できます。

チャットボットは、社内ルールや業務手順をデータとして学習し、新入社員が繰り返し質問しても迅速かつ正確に回答が可能です。この仕組みにより、教育担当者が他の重要な業務に集中できる環境が整います。また、新人が気軽に質問できるため、不明点を放置せず早期解決につながり、職場への適応がスムーズになる点がメリットです。

さらに、新人教育の効率化は離職率の低下にも影響します。適切な情報提供とサポートが行われることで、新入社員は安心して業務に取り組むことができ、定着率向上につながります。

2)業務改善:従業員のニーズや課題を把握できる

チャットボットは、従業員から寄せられる質問や利用状況をデータとして記録できます。このデータを分析することで、従業員が抱える課題やニーズを把握することが可能です。

たとえば、「どの部署でどんな質問が多いか」「どんな情報が不足しているか」といった具体的なインサイトを得られます。これらの情報は、業務改善やプロセス効率化に役立つのです。経営層は分析結果を基に適切な施策を講じることで、従業員満足度の向上や全体的な生産性向上を図ることができます。また、このようなデータ活用は、新サービス開発や組織改革にも応用可能です。

3)一貫した情報提供:対応ミスや情報のばらつきが減らせる

チャットボットによる回答は統一されており、人間による対応で発生しがちなミスや情報のばらつきを防ぐことができます。

たとえば、申請書類の書き方や社内システムの使い方など、多くの社員が必要とする基本的な情報を正確かつ迅速に提供可能です。この一貫性は、特定部署だけでなく全社規模でのコミュニケーション効率化にもつながります。さらに、情報共有プロセスが標準化されるため、新入社員だけでなく既存社員にも公平なアクセス環境を提供できるのです。

4)コスト削減:人件費やトレーニングコストを抑えられる

チャットボット導入によって、人件費やトレーニングコストの削減も期待できます。たとえば、新人教育の際には先輩社員が質問対応に割く時間を短縮でき、その分自身の業務に専念できるのです。

また、大量の問い合わせ対応を自動化することで、従来必要だった追加スタッフや残業コストも削減可能です。これにより、限られた人材資源を効率的に活用しながら、全体的な運用コストを抑えられます。

社内向けチャットボットの導入がおすすめな部署

社内向けチャットボットは、特定の部署で導入することで業務効率化やコスト削減に大きな効果をもたらすことが可能です。本セクションでは、人事部、総務部、営業部、技術サポート(IT)部門における具体的な活用例を紹介します。

人事部:問い合わせ業務の自動化・オンボーディング支援

人事部では、チャットボットを導入することで「問い合わせ業務の効率化」と「生産性の向上」が期待できます。従業員から寄せられる給与や福利厚生、勤怠管理に関する質問に対応する時間が削減され、人事担当者はコア業務に集中できるでしょう。

たとえば、株式会社クスリのアオキでは、チャットボット導入により約3,500時間の問い合わせ対応時間を削減し、業務負荷を約75%軽減しました。また、従業員が土日でも疑問を解決できる環境が整い、エンゲージメント向上にもつながっています。

さらに、新入社員のオンボーディング支援にも有効です。必要な情報をチャットボットが即時提供することで、新人がスムーズに業務に慣れる手助けとなり、人事部の負担が軽減されます。

参考: @人事「【サービス資料】WisTalk導入事例:約3,500時間の対応時間削減など大幅な業務効率化を実現」

総務部:問い合わせ業務の自動化・属人化の防止&リモートワーク対応

総務部では、社員からの問い合わせ対応を自動化することで業務負担を軽減できます。たとえば、休暇申請や勤怠記録修正などの定型的な質問をチャットボットが処理することで、担当者は他の重要な業務に集中できるのです。

また、FAQや社内ルールへのアクセスが容易になるため、属人化の防止にも役立ちます。リモートワークとの相性も良く、自宅勤務中でも社員が気軽に問い合わせできる環境を提供可能です。これにより、総務部門全体での効率化が進みます。

リコージャパン人事部では、チャットボット導入後2か月で600件以上の問い合わせ対応を自動化し、問い合わせ業務の70%を削減しました。

参考:RICOH Chatbot Service「チャットボットで総務・人事部への問い合わせ対応工数を削減」

営業部:顧客対応・見込み客の獲得

営業部では、顧客対応や見込み客獲得においてチャットボットが活躍します。24時間365日対応可能なため、日本国内だけでなく海外顧客へのサービス提供も可能です。

たとえば、Webサイトに設置したチャットボットが顧客からの問い合わせに自動応答し、その場で連絡先情報を収集することで商談機会を創出できます。また、大量のデータ収集と分析機能を活用し、顧客ニーズを把握して営業戦略を改善することも可能です。これにより営業活動全体の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。

エイネット株式会社では、見込み客獲得数の向上を目的にチャットボットを導入しています。同社は自社サイトに複数のチャットボットを設置し、各サービスに応じた選択肢を提供するシナリオを構築しました。その結果、リード(見込み客)の約3割がチャットボット経由で獲得され、リード総数も10〜20%増加しているのです。さらに、チャット経由のリードはアポ率や受注率が高く、営業活動の効率化にも貢献しています。

参考:sinclo「チャットでリード獲得数10〜20%アップを実現!Salesforceと連携し営業活動も効率化!!」

技術サポート(IT)部門:一次対応の自動化

技術サポート(IT)部門では、システム障害やパスワードリセットなど頻繁な問い合わせへの一次対応をチャットボットが担います。これにより担当者は高度なトラブルシューティングやプロジェクト業務に専念できるのです。

株式会社ミツワ電機では新基幹システムに関する問い合わせ対応を効率化するためAIチャットボットを導入し、4か月間で1,207時間の対応工数削減に成功しました。同社では自己解決率が91.3%に達し、多数の問い合わせを自動応答で処理できる環境を整備しています。

また、既存FAQから対応可能な質問事項を洗い出し、自動応答範囲を拡大することで工数削減につながります。さらに、チャットツールとの連携機能を活用すれば利用率が高まり、多くの社員が効率的にサポートを受けられる環境が整うでしょう。

参考:Panasonic「チャットボットでDX加速!情報システム問い合わせをスマートに解決」

社内向けチャットボット導入の失敗しないポイント

社内向けチャットボットを効果的に導入するには、目的を明確にし、適切な準備を行うことが重要です。本セクションでは、導入成功のための具体的なポイントを解説します。

どのような質問やタスクが多いかを洗い出しする

チャットボットを導入する際には、現状の課題を正しく把握することが不可欠です。たとえば、従業員がどのような質問やタスクで困っているのか、頻出する問い合わせ内容を調査しましょう。これにより、優先的に解決すべき具体的な課題が見えてきます。調査方法は以下のとおりです。

  • 部署ごとの問い合わせ記録を分析
  • 従業員へのアンケート調査
  • ヒアリングによる現場の声の収集

「総務部への申請書類に関する問い合わせ」や「IT部門へのログインエラー対応」など、特定の部署に集中している場合、それらを優先的に自動化することが効果的です。このように、目的が曖昧なまま導入すると利用されずに終わるリスクがあります。問い合わせ削減や業務効率化など達成したい目標を明確に設定しましょう。

セキュリティとプライバシーを確認する

チャットボット導入にセキュリティとプライバシー対策は欠かせません。チャットボットにはクラウド型とオンプレミス型がありますが、自社のポリシーや扱うデータの機密性に応じて選択しましょう。

型式 特徴 注意点
クラウド型 初期費用が抑えられ、短期間で導入可能 外部サーバーにデータが保存されるため、個人情報や機密情報を扱う場合は慎重な検討が必要
オンプレミス型 自社サーバーで運用するため、高いセキュリティを確保可能 初期費用や運用コストが高くなる傾向がある、システム管理の専門知識が必要

たとえば、機密性が高い情報(給与データや顧客情報など)を扱う企業ではオンプレミス型が推奨されます。一方で、一般的なFAQ対応などの場合はクラウド型でも十分対応可能です。また、暗号化やアクセス制限などの対策も行いましょう。

運用後の費用と投資効果を見極める

チャットボット導入には初期費用と運用費用が発生します。そのため、それぞれのコストと期待できる効果を事前に見極めることが重要です。

  • 初期費用:開発・導入コストは数十万円から数百万円程度
  • 運用費用:月額料金やメンテナンス費用も考慮、とくに古い情報しか返さない場合は信頼性が落ちるため、定期的なメンテナンスと改善が必要
  • 効果測定:時間削減、人件費削減など投資対効果(ROI)を測定する、「問い合わせ対応時間が50%削減された」など具体的な成果を数値化すると効果が明確になる

これらを踏まえた上で、自社に最適なプランを選択してください。

トライアルとフィードバックを活用する

最後に、本格導入前には試用期間を設けて実際の効果や使い勝手を検証しましょう。一ヶ月程度のトライアル期間中に以下の点を確認してください。

  • 利用率:従業員がどれだけ活用しているか
  • 満足度:現場から寄せられる意見や改善点

また、従業員からフィードバックを収集し、それに基づいてチューニングすることで実際のニーズに合ったシステムへと進化させられるのです。このプロセスによって導入後の失敗リスクも軽減されます。

AIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」が社内の“わからない”をゼロにする

IZANAI(イザナイ)は、社内外のFAQ対応を効率化する生成AI型チャットボットです。OpenAIの技術を活用し、質問が曖昧でも適切な回答に導く高精度な応答を実現。ノーコード・最短3分で構築でき、問い合わせ対応や情報検索の手間を大幅に削減します。

IZANAIの主な特徴

  • 社内資料やWebページを登録するだけで回答が可能
  • PDF・Excel・WebサイトのURLなど、複数ソースを同時に学習
  • FAQ整備が不十分でも、曖昧な質問に対応
  • 面倒なシナリオ設計が不要

IZANAIのおすすめの利用シーン

  • 人事・総務など社内問い合わせが多い部門
  • カスタマーサポートやコールセンター
  • 営業支援・販売代理店対応
  • 技術マニュアルが煩雑な製造業

IZANAIの導入メリット

  • 社内情報検索にかかる年間240時間の削減に貢献
  • ノーコードで簡単導入
  • 他社に比べて圧倒的な低価格(月額数万円)
  • セキュリティにも配慮(データはプライベート環境で運用)
  • 専任サポートによる導入・運用支援も充実

参考:曖昧な質問もAIチャットボットが正解に導く | IZANAI Powered by OpenAI

社内向けチャットボットの導入で従業員にも経営側にもメリットをを

社内向けチャットボットの導入は、中小企業にとって業務効率化や情報共有の改善を実現するための強力なツールです。従業員にとっては、ストレス軽減や公平な情報アクセス、24時間対応などのメリットがあり、経営側から見てもコスト削減や業務改善、新入社員のオンボーディング支援など、多岐にわたる利点があります。

本記事で紹介した活用例や導入ポイントを参考にすることで、失敗を防ぎつつ効果的な導入が可能です。導入を検討する際には、自社のニーズをしっかりと洗い出し、セキュリティや運用コストを考慮した計画を立てましょう。また、トライアルを活用してフィードバックを収集し、最適化を図ることで、最大限の効果を引き出せるのです。

社内向けチャットボットは単なる技術ではなく、企業文化や業務プロセスを変革する可能性を秘めています。ぜひこの機会に、自社に最適なチャットボット導入を検討してみてください。

執筆者 浦 将平

AIチャットボットのプロダクトマネージャー。

7年間にわたり、法人向けの顧客管理ツール、データ統合ツール、CMS、チャットボット、電子ブックのマーケティングを担当し、BtoB領域でのプロダクトの成長に携わる。マーケティング戦略の立案から実行までを幅広く手がけ、業務プロセスの仕組み化を得意とする。

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