生成AIのプロンプトを作成するコツを10個解説!失敗の原因や作成例も紹介
公開日 2025/05/08

生成AIをうまく活用するには、適切な「プロンプト(指示文)」の作成が重要です。どんなに高性能なAIでも、曖昧な指示では期待通りの回答は得られないからです。
本記事では、生成AIのプロンプトのありがちな失敗例から、作成するコツ、便利な記号の使い方、具体的な作成例まで、実践に役立つ情報を解説します。「生成AIをもっと使いこなしたい!」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
生成AIのプロンプトとは?
プロンプトとは、生成AIに対してユーザーが入力する指示文や命令文のことを指します。
AIはこのプロンプトをもとに、文章や画像などのコンテンツを生成します。しかし、プロンプトの内容が曖昧だったり不適切だったりすると、意図とは異なる結果が生成されることがあります。
つまり、生成AIを思い通りに使いこなすには、プロンプトの質が非常に重要です。明確で具体的なプロンプトを作成することで、理想的なアウトプットを得ることができます。
生成AIのプロンプトの作成でよくある失敗の原因
生成AIを使っても、思ったような結果が得られないといった経験がある人は多いのではないでしょうか。その原因の多くは、プロンプトの作成にあります。
この章では、プロンプト作成時によくある失敗のパターンを解説し、的確な指示を出すためのポイントを紹介します。
プロンプトに記載している指示の内容が曖昧
生成AIに対して「何かいい案はない?」「素敵な文章を書いて」といった曖昧な指示を出すと、AIは何を求められているのか判断できず、内容の薄い一般的な回答になりがちです。また、書式や文体の指定もないため、出力結果がイメージとズレることもあります。
効果的なプロンプトを作成するには、「目的」「対象」「形式」を明確にし、具体的に指示を出すことが重要です。
プロンプトに記載する情報の量が足りない
「このデータを分析して」「この文章を要約して」などの指示では情報が不足しており、AIは何を重視すべきか判断できず、期待した結果が得られないことがあります。
「どの数値を分析するのか」「どんな観点で要約するのか」「箇条書きを使っていいのか」などの情報が不足しています。また、文字数や形式の指定がなければ、AIは独自の解釈で処理するしかありません。
適切なアウトプットを得るには、目的や条件、希望する形式などの具体的な情報を盛り込むことが重要です。
プロンプトの内容が整理されていない
一つのプロンプトに複数の要素を詰め込みすぎると、AIは指示の優先順位や処理手順を判断できず、意図と異なる結果を返す恐れがあります。
たとえば「商品の特徴は○○で、開発者は××、△△もして□□もしてほしい」といった散漫な内容では、情報の整理が不十分で、プロンプトを作成した人とAIの間で、認識にズレが生じる可能性があります。
プロンプトを作成する際は、指示を箇条書きにする、一つずつ段階的に伝えるなど、構造的に整理することで、精度の高い回答につながります。
1つのプロンプトで複数の質問をしている
「○○と△△のデータを分析して、□□と××の数値を出したあと、わかりやすく要約して」といったように、1つのプロンプトに複数のタスクを盛り込むと、AIが処理の優先順位を判断できず、曖昧な出力になることがあります。
情報量が多いほど、回答の精度や一貫性が下がる原因にもなります。プロンプトを作成する際は、「分析」「数値の算出」「要約」など、目的ごとに分けて指示を出すことがポイントです。
専門的な用語を使いすぎている
たとえば「IoT化を推進するためのロードマップとマイルストーンを作成して」といった指示は、専門用語が多すぎてAIが正確に理解できず、意図と異なる回答になる可能性があります。特に最新の業界用語や略語は、AIが未学習の可能性もあるため注意が必要です。
誰にでも分かる言葉に言い換えることで、AIの理解が深まり、精度の高い出力につながります。専門用語は必要に応じて補足説明を加えると良いでしょう。
生成AIのプロンプトを作成するコツ
生成AIを上手に活用するには、プロンプトの工夫が欠かせません。とはいえ、これから紹介するすべてのコツを一度に実践する必要はありません。自分ができそうなことや、目的に合ったポイントだけを取り入れるだけでも効果的です。まずは気軽に試してみることから始めてみましょう。
AIに役割・立場を与える
生成AIに明確な役割や立場を与えることで、出力される内容の質と一貫性が高まります。たとえば「プロのライターとして文章を作成してください」や「あなたはデータ分析の専門家です」といった形で指示すれば、その立場にふさわしい語彙や視点を反映した回答が得られます。
役割や立場を設定することで、求めるトーンや専門性に合ったアウトプットがしやすくなり、目的に合致した回答を得ることが可能です。
指示文・命令文と補足情報を分けて記載する
生成AIにプロンプトを渡す際、指示文や命令文と補足情報を分けて記載することが重要です。まず、最初に「〇〇をしてください」といった具体的な指示を明確に伝え、その後に補足情報を提供することで、AIは指示内容を正確に理解しやすくなります。
また、指示文の後に文脈や条件、目的などを加えることで、よりイメージに近い回答が得られるようになります。
なるべく具体的なプロンプトを作成する
生成AIにプロンプトを作成する際は、5W1Hを意識してできるだけ具体的に記載することが重要です。
まず、「情報収集」「分析」「創作」など、何をしたいのかを伝え、目的を明確にしましょう。その後、誰に向けたものなのか、どのような形式で出力してほしいのか(文字数、構成など)を指定します。
具体的なプロンプトを作成することで、過不足なく情報が伝わり、イメージに近い回答を得やすくなります。
自分がイメージする回答形式を記載する
生成AIにプロンプトを作成する際、自分がイメージする回答形式を明確に伝える必要があります。たとえば、特定の情報を箇条書きにして欲しい場合や、表形式で整理してほしい場合、その旨をプロンプトに記載します。
また、回答に含めて欲しい項目を具体的に指定することも有効です。たとえば「会社名、代表の名前、設立年、主要なサービス」など、必要な情報を伝えることで、より的確な回答が得られます。さらに、記号を用いて指示する方法も効果的です(次章で後述)。
曖昧な説明・表現を避ける
「○○について教えて」「いい感じの案を提案して」といった曖昧な指示では、生成AIが意図を正確に汲み取れず、期待とは異なる回答が返ってくる可能性があります。曖昧な表現は避け、求める情報の構成や形式を明示しましょう。
また、回答の精度を上げるには、誰に向けた情報なのか、何を目的とした内容なのかなどを具体的に伝えることも重要です。明確な指示により、より実用的で的確なアウトプットを引き出せるようになります。
「~しないでください」より「~してください」を使う
生成AIに指示を出す際は、「~しないでください」ではなく、「~してください」と肯定形で伝えるのが効果的です。たとえば「難しい言葉は使わないでください」ではなく、「初心者でも理解できるように簡単な表現で回答してください」と書くことで、AIは具体的にどうすれば良いかを理解しやすくなります。
否定形は曖昧さを生みやすく、意図とは異なる回答になる原因にもなるため、肯定的かつ明確な表現を意識しましょう。
できるだけ新しいバージョンのAIを使用する
生成AIは日々進化しており、新しいバージョンほど理解力や出力の精度が高く、より自然で的確な回答が得られやすくなります。古いバージョンでは対応できない内容や表現がある場合もあるため、可能であれば最新のモデルを選ぶことをおすすめします。
予算や利用目的に応じて検討しながらも、常にアップデートされたAIを活用することで、生成AIの効果を最大限に引き出すことができます。
何回もAIとのやり取りを繰り返す
生成AIでは、一度のやり取りでイメージ通りの回答が生成されることは少なく、何度か試行錯誤を繰り返すことで精度の高い回答に近づけていくのが基本です。最初の出力に対して改善点や具体的な修正を指示することで、少しずつ理想の回答に近づけられます。
やり取りを重ねるうちに、プロンプトの作成にも慣れて効率が上がり、AIの理解も深まっていくため、結果的にやり取りの回数も減っていきます。根気よく対話を重ねましょう。
【画像生成AIの場合】画像の要素に優先順位をつけて指示を出す
画像生成AIでは、AIは前に書かれた情報をより重要と判断するため、もっとも重視したい被写体やテーマは冒頭に記載するのが効果的です。逆に、細かい背景やスタイルなどは後半に記述すると、全体のバランスが取りやすくなります。
要素ごとに優先順位をつけて整理することで、自分の意図を的確に反映した画像を生成できます。
【画像生成AIの場合】画像の用途や目的を伝える
画像生成AIにプロンプトを出す際は、画像の用途や目的を明確に伝えることが大切です。プレゼン資料用、SNS投稿用、絵本の挿絵など、使用シーンを具体的に示すことで、AIが最適な雰囲気や構図を判断しやすくなります。
目的が明確であるほど、実際の利用場面にフィットした画像が生成されやすくなり、修正の手間も減らせます。目的に応じた表現を引き出すためにも、使用意図をしっかりと伝えましょう。
生成AIのプロンプトの作成で役立つ記号
生成AIに的確な指示を出すためには、言葉だけでなく記号の使い方も重要です。記号を活用することで、情報の強調や見出しの指定、要素の区切りなどが明確になり、より精度の高い回答や画像を引き出しやすくなります。
ここでは、プロンプト作成時に役立つ記号とその活用法を紹介します。
「#」:見出しを表す記号
「#」は見出しを表す記号で、プロンプトに階層構造を持たせたいときに便利です。「#」や「##」などを使い分けることで、大見出しや中見出しのように内容を整理できます。
「#」の数が少ないほど上位の見出しとなり、最大で6段階まで指定可能です。情報の前後関係を明確に伝えられるため、AIが構造を正しく理解しやすくなり、より的確で整理された回答が得られます。章立てして説明したい場合などに特に効果的です。
「**」「__」:強調を表す記号
「**」や「__」は、強調したい言葉を目立たせるための記号です。これらで囲んだ語句は重要なキーワードとして認識され、AIが優先的に読み取るようになります。
たとえば、「*重要なポイント*」「_必ず確認_」のように使うことで、伝えたい意図がより正確に反映されやすくなります。プロンプトの中で特に強調したい部分がある場合に有効なテクニックです。
「*」「-」:箇条書き(リスト)を表す記号
「*」や「-」は、箇条書きを表すための記号で、情報を整理して伝えるのに役立ちます。プロンプト内で複数の項目や指示がある場合、それぞれをリスト化することで、AIが内容を明確に把握しやすくなります。
視覚的にも整理され、意図が伝わりやすくなるため、複数の条件や手順を提示したいときに効果的です。簡単な記号ながら、プロンプトの読みやすさと精度を高める重要なテクニックの一つです。
「|」:表を表す記号
「|」は、表形式の情報を記述する際に使う記号です。「|項目1|項目2|項目3|」のように、縦線で区切ることで、AIに表として認識させることができます。
比較や一覧を視覚的に整理したいときに便利で、回答の形式を明示的に指定したい場合に効果を発揮します。特に、項目ごとの違いを示したいときや、構造化された情報が欲しいときに役立ち、回答の見やすさも向上します。
生成AIのプロンプトの作成例
ここでは、実際に使える生成AIのプロンプト例を紹介します。うまく活用することで、より意図に沿ったテキストや画像を得ることができます。
目的に応じた具体的な指示の出し方や、注意すべきポイントもあわせて解説していくので、ぜひ参考にしてください。
文章の執筆
文章の執筆を依頼するプロンプトでは、文体や構成、含めたいキーワードを具体的に示すことが重要です。たとえば以下のように記述すると、AIが意図を正確に汲み取りやすくなります。
【例】
あなたはIT系メディアのプロライターです。
以下の条件に基づき、「生成AIの活用メリット」について記事本文を作成してください。
###条件:
・文字数:400文字程度
・「です」「ます」調
・2〜3行ごとに改行する
・*「業務効率化」と「コスト削減」*の要素を含める
・読者は初心者を想定
このように、「###」や「**」のような見出し記号を活用すると、プロンプトに階層と強調が生まれ、より的確な出力が得られます。
資料の作成
資料作成をAIに依頼する際は、目的や形式に加えて、ページ数や必要・不要なコンテンツなどの条件を明確に伝えることで、完成イメージに近いアウトプットが得られます。たとえば、以下のようなプロンプトが効果的です。
【例】
あなたはマーケティング部門の担当者です。
以下の条件に基づき、「新商品プロモーション戦略」に関する資料の骨子を作成してください。
条件:
・目的:社内プレゼン用
・5項目以上を箇条書きで記載
・3ページ以内
・具体的かつ簡潔な見出しをつけること
・「はじめに」「目次」は不要
このように、役割指定や制約、記号を活用すれば、より実践的な資料作成が可能になります。
アイデア出し・企画案の提案
アイデア出しや企画案の提案には、生成AIの柔軟な発想力が大いに役立ちます。明確な背景や目的、制約条件を指定することで、実現性や独自性の高い案を効率よく得ることが可能です。たとえば、以下のようなプロンプトが考えられます。
【例】
あなたは新規事業の立ち上げに強みを持つ戦略コンサルタントです。
*背景・目的:*来週の社内会議に向け、XX業界における生成AIを活用した新規事業案を検討中です。
以下の条件に基づき、XX業界で生成AIを活用した新規事業アイデアを5つ提案してください。
###条件:
・概要・市場規模・収益モデル をそれぞれ記載
・インパクトと実現可能性を10段階で評価
・各案は「|」を使った表形式で出力する
このように記号や段階的な構成を取り入れることで、プロンプトの精度が格段に向上します。
データの分析
生成AIを活用すれば、複雑なデータ分析も効率的に行えます。たとえば、以下のようなプロンプトで具体的な分析と改善提案を得られます。
【例】
#役割
あなたはSaaSプロダクトのユーザー行動分析に精通したデータアナリストです。
#背景
当社のプロジェクト管理ツールはユーザー登録数が伸びている一方で、有料プランへの移行率が低下しています。
#タスク
以下のデータをもとに、ユーザーの利用傾向を分析し、アップグレード率を改善するためのレポートを作成してください。
#データポイント
– 新規ユーザー登録数:5,000→7,800(56%増)
– 無料プラン継続率:68%→74%
– 有料プラン移行率:12%→8%
– 機能利用率(チャット・ファイル共有など):平均40%
– 有料ユーザーの平均継続期間:5.2ヶ月→4.1ヶ月
– サポートチャット利用率:9%(全体)
#条件
– エグゼクティブサマリー(200字以内)で分析結果を要約
– データから読み取れる3つの主な課題とその根拠
– ユーザーの行動パターンをもとにした課題の構造化
– 有料プラン移行を促進する施策の提案(UI改善・サポート強化など)
– 優先順位をつけた実行プランと数値目標
– レポート全体は1000字以内に簡潔にまとめる
#出力形式
・完成したレポート(見出し・本文)
・必要な図表の種類(例:機能別利用率のヒートマップ、離脱率推移グラフなど)
必要な背景、目的、構造を明示することで、読み手や使い方に応じた分析結果を生成しやすくするのがポイントです。
画像生成
画像生成AIは、プレゼン資料やSNS投稿に使える「伝わるビジュアル」も簡単に作成できます。たとえば、以下のようなプロンプトを使えば、目的に沿った画像が得られやすくなります。
【例】
以下の条件を満たすプレゼン資料用のバナー画像を生成してください。
###条件:
・テーマは「脱炭素社会」
・抽象的な未来都市の風景
・色味はブルーとグリーンを基調
・縦横比は16:9
・クリーンエネルギーや植物を含める
画像の構図や配色も指定することで、意図通りのアウトプットに近づきます。出力形式の明記も効果的です。
自分で生成AIのプロンプトを作るのが難しいときはツールを使うのもあり
プロンプト作成が難しいと感じる場合は、専用ツールを活用するのもおすすめです。キーワードや目的を入力するだけで、自動でプロンプトを提案してくれます。無料で利用できるツールも登場しており、初心者でもスムーズに生成AIを活用可能です。
ただし、ツールで生成された内容をそのまま使うのではなく、自分の目的に合うように調整することが大切です。ツールはあくまで「たたき台」として活用し、最終的には自分で言葉を調整して利用しましょう。
効果的なプロンプトを作成して、生成AIを賢く利用しよう
本記事では、生成AIのプロンプトのありがちな失敗例から、作成するコツや作成例まで、解説しました。
プロンプトの質は生成AIの出力結果に大きく影響するため、コツを押さえて作成することが重要です。役割の設定や具体的な指示、適切な記号の活用などを意識することで、より的確な出力が得られます。
ぜひ本記事の内容を参考に、自分に合ったプロンプトのスタイルを見つけ、生成AIを賢く活用していきましょう。