総務とはどんな仕事?業務内容や求められるスキル、やりがいを解説
公開日 2025/10/21

「総務って具体的に何をする部署なの?」「求人票に書かれている“総務”の意味や仕事内容がいまいち分からない」「自分に向いている仕事なのか知りたい」という方もいるでしょう。
総務は会社全体の事務や組織運営を担う重要な部署であり、幅広い業務内容と専門的なスキルが求められます。仕事内容や求められるスキル、やりがいを理解することで、自分に合うかどうか判断しやすくなり、将来的なキャリア設計にも役立ちます。
この記事では、総務の意味や仕事内容、総務に向いている人の特徴、必要なスキル、やりがいに加えて、総務と庶務の違いも解説します。さらに、総務業務の効率化に役立つITツールや導入のポイントも紹介します。
目次
総務とは
総務とは、会社全体の事務や組織運営に関わる幅広い業務を担う部署です。経理や営業、人事のように特定の分野に限定されず、会社運営に必要なさまざまな業務を横断的に支えます。
たとえば、文書や契約の管理、社内行事の企画、備品や施設の維持、来客・電話対応など、日常業務から重要な意思決定の場まで関与します。会社規模や体制によっては、人事・労務・法務などの業務を兼務することも少なくありません。
しばしば混同される「庶務」は、備品管理や郵便物の仕分けなどの日常的な雑務が中心ですが、総務はこれらに加え、会社全体の仕組みや環境を整える役割を担っています。
総務の主な仕事内容
総務の仕事は多岐にわたり、日常的な庶務業務から組織運営に関わる専門的な業務まで幅広く含まれます。ここでは主な業務内容を解説します。
文書の作成・管理
総務は、会議資料や議事録、稟議書、備品発注書など、社内外で使用されるさまざまな文書を作成・管理します。文書は法的証拠や業務の記録として重要であり、正確性と保存ルールの遵守が不可欠です。種類や日付、関係部署ごとに分類し、誰でも必要なときに参照できる体制を整える必要があります。
なお、紙媒体と電子データを併用する場合は、台帳やフォルダ構成を統一し、改定履歴や承認者情報も記録しておくことが望まれます。
会社の施設・設備の管理
従業員が快適で安全に業務を行えるよう、社内の施設や設備を維持・管理するのも総務の重要な役割です。清掃業者の手配、照明・空調の調整、防災設備や避難経路の点検など、日常的なメンテナンスを行います。
また、法律で義務付けられた定期点検や防災訓練の実施も必要です。さらに、社員数や部署の増減に合わせてオフィスのレイアウトを変更し、動線や作業効率を考慮した配置を整え、トラブル発生時には業者と連携し、迅速な復旧を図ることが重要です。
備品の発注・管理
総務は、文房具やコピー用紙などの消耗品からPCやデスク・椅子といった大型備品まで、会社で使用するあらゆる物品を管理します。必要な数量を把握し、台帳に品名・個数・設置場所を記録し、定期的な在庫確認を通じて、必要に応じてメンテナンスや買い替えを行うことも重要です。
備品が不足すると業務が滞るため、発注のタイミングや補充のルールを明確にし、コスト管理と効率的な運用を両立させる必要があります。
契約の管理
他社との取引契約やオフィスの賃貸契約、レンタル機器の利用契約など、会社に関わるさまざまな契約書を適切に管理します。
契約書は法律で保存期間が定められている場合があり、期限や内容を正確に把握する必要があります。よって、契約更新や解約の時期を逃さないようにカレンダーやシステムで管理し、担当者や承認フローも明確化することが重要です。また、契約内容の変更やトラブル対応にも迅速かつ正確に対応できる体制が求められます。
社内行事の企画・運営
入社式や社員総会、忘年会、株主総会、取締役会など、会社の重要なイベントを企画・運営します。そのため、会場の選定・手配、招待状や案内文の作成、参加者管理、当日の設営や運営など、多岐にわたる準備が必要です。
イベントの目的や参加者の立場を踏まえた進行計画を立て、スムーズに実施できるよう調整します。また、オンライン開催の場合は、配信機材や通信環境の整備も求められます。
来客・メール・電話への対応
来客時の受付対応、入館手続き、応接室や会議室への案内など、総務は会社の“顔”として外部の人と接することも多い部署です。そのため、郵便物や宅配便の受け取り・仕分け・配布も担います。
また、代表電話や代表メールへの問い合わせを担当部署へ振り分ける際には、内容を正確に把握し、スムーズな対応につなげることが重要です。第一印象を左右する場面が多いため、丁寧かつ迅速な対応が求められます。
会社のHP・SNSの管理
専任部署がない場合、総務が自社HPや公式SNSアカウントの管理を行うことがあります。掲載情報の更新、イベントやニュースの告知、問い合わせフォームから届く質問への一次対応などが含まれ、企業イメージを左右する重要な業務であるため、正確で最新の情報を発信することが必要です。また、誤情報や不適切な内容がないよう、公開前のチェック体制も重要になります。
社内外への広報
広報部がない企業では、総務が社内報やPR誌、会社案内などを作成し、社内外に情報を発信します。社内向けには経営方針や人事異動、イベント情報などを共有し、社外向けには企業のブランドイメージを高める情報発信を行います。読み手に伝わりやすい文章やデザインを心掛け、正確かつ迅速に情報を届けることが重要です。
秘書業務
秘書がいない場合、総務が社長や役員のスケジュール管理や会議の調整、出張手配、来客応対、贈答品の手配などを行う場合があります。また、会議資料の準備や議事録作成、社長の指示事項の社内共有なども含まれます。そのため、機密情報を扱うことが多いことから、情報管理と守秘義務の徹底が求められます。
人事・労務・法務に関連する業務
人事・労務・法務の専門部署がない場合、総務がこれらの業務を兼務する場合があります。具体的には、社員の雇用契約や勤怠管理、福利厚生制度の運用、労働法や個人情報保護法に基づく契約書の保存・管理などが挙げられます。法改正や規程の変更に対応しながら、社内の制度運営を円滑に進める役割を果たしています。
総務に向いている人の特徴
総務は人と仕組みの両方を扱うため、業務を円滑に進めるには特定の資質が求められます。ここでは、総務に向いている人の特徴を紹介します。
人と話すことが好き
総務は、社内外のさまざまな人と接する機会が多い部署です。来客や電話対応、他部署との調整、外部業者との打ち合わせなど、日々の業務で対人コミュニケーションが欠かせません。
人と話すことが好きで、相手の立場を理解しながら適切な言葉を選べる人は、総務の業務を円滑に進めやすくなります。会話の中から相手の要望や課題をくみ取り、迅速に行動に移せる柔軟さも重要です。
マルチタスクが得意
総務の業務は文書作成や設備管理、備品発注、契約管理、行事運営など、多岐にわたります。これらを同時並行で進める必要があるため、優先順位を見極めながら複数のタスクを効率的にこなせる力が求められます。
たとえば、会議準備と備品発注が同時に発生した場合でも、納期や重要度を判断して順序立てて対応できる能力が必要です。常に全体の進行状況を把握し、臨機応変に動ける人は総務に向いています。
責任感を持って仕事ができる
総務は、会社の機密情報や従業員の個人情報など、重要な情報を扱う場面が多い部署です。情報漏えいや文書の紛失を防ぐためには、高い責任感と慎重な行動が不可欠となります。
また、契約書や社内規程の管理、法令遵守のための手続きなど、細部まで注意を払わなければならない業務が多くあります。そのため、与えられた業務を最後までやり遂げ、正確さを維持できる人は、総務業務で信頼を得て働くことが可能です。
総務の仕事で求められるスキル
総務の仕事を円滑に進めるには、特定のスキルが必要です。ここではとくに重要な3つのスキルについて解説します。
コミュニケーション能力
総務は、社外の来客対応や取引先とのやり取り、社内各部署との調整など、人と関わる機会が非常に多い職種です。相手の意見や要望を的確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力が求められます。
また、立場や状況に応じて話し方や表現を変える柔軟さも必要です。誤解やトラブルを防ぐために、記録を残す習慣や、会話内容を明確にまとめるスキルも重要となります。
PCスキル
総務の業務では、会議資料や契約書、データの管理、メール対応など、PCを使う場面が日常的にあります。そのため、Wordでの文書作成やExcelでのデータ集計、PowerPointでの資料作成は基本スキルとして必要です。
とくにExcelの関数やピボットテーブル、グラフ作成の知識は業務効率を向上させます。また、社内システムの操作方法を理解しておくことも欠かせません。
スケジュール管理能力
総務は複数の業務を同時に抱えるため、効率的なスケジュール管理が求められます。そのため、業務の優先順位を適切に判断し、期限までに確実に遂行する力が必要です。
突発的な依頼や緊急対応が発生することも多いため、柔軟に予定を組み替えられる能力も重要になります。カレンダーやタスク管理ツールを活用し、進捗を可視化することで、抜け漏れを防ぎながら効率的に業務を進められます。
総務の仕事のやりがい
総務は企業全体を支える縁の下の力持ちです。ここでは、他部署にはない日々の業務の中で感じられるやりがいについて紹介します。
会社の運営に広く携わることができる
総務は、部署や役職を超えて幅広い人と関わるポジションです。経営層から現場社員まで、全社的な視点で調整やサポートを行えるため、会社全体の運営に直接関わる実感を得ることが可能です。
たとえば、株主総会の運営や重要契約の管理など、企業活動の中枢に触れる機会も多く、業務を通じて事業全体の仕組みや流れを理解できます。こうした経験は、総務ならではのやりがいといえます。
縁の下の力持ちとして多くの人をサポートできる
総務は、表舞台には出ないものの、日々多くの社員や部署を支えています。たとえば、急な備品不足を解消したり、設備トラブルに素早く対応したりすることで、現場の業務が円滑に進みます。
その結果、感謝の言葉を直接受け取る機会も少なくありません。自分の対応や工夫が、組織全体の働きやすさや成果につながっていると実感できることは、大きなモチベーションになります。
幅広い業務の経験を積める
総務は、文書管理や契約業務、行事運営、施設管理、人事・労務・法務の一部まで多様な業務に携わります。これにより、バックオフィス全般の知識やスキルが自然と身につきます。
また、業務を通して法律や制度、ITツールの活用法など、他部署では得られない専門性を習得できるのも魅力です。こうした幅広い経験は、キャリアの選択肢を広げ、将来の管理職や専門職へのステップアップにもつながります。
総務の仕事の課題
やりがいの多い総務ですが、現場では慢性的な課題も存在します。ここでは代表的な課題とその背景を紹介します。
業務量が多く業務範囲が広い
総務は会社運営に関わる幅広い業務を担当するため、日常的に多くのタスクを抱えます。文書作成や備品管理などのルーティン業務に加え、設備トラブルや社内行事の対応など突発的な業務も発生するため、優先順位の判断や時間配分が難しく、結果的に残業が増える要因となります。この課題解決においては、業務範囲の明確化や負担の分散が重要なポイントです。
人手不足
総務は多岐にわたる業務を少人数で回している企業が多く、1人あたりの負担が大きくなりがちです。人員不足は業務の質やスピードにも影響し、長時間労働や精神的負担の増加を招きます。
また、新たな業務改善や研修などに時間を割けない原因にもなるため、人員体制の見直しや外部リソースの活用など、負担軽減の仕組みづくりが求められます。
業務の属人化
総務では、勤続年数が長いベテラン社員に特定の業務が集中しやすく、その人が不在になると業務が滞る「属人化」が発生します。とくに契約管理や社内規程の運用など、知識や経験が必要な業務ほど引き継ぎが難しくなります。
属人化はリスクの温床となるため、業務のマニュアル化やローテーション制度を導入し、誰でも対応できる環境を整えることが重要です。
業務フローに無駄がある
紙の書類や押印文化など、従来の業務フローが残っている企業では、情報共有や承認に時間がかかり、効率が低下します。
また、重複した作業や不要な工程が温存されている場合も多く、担当者の負担を増やす要因となります。ペーパーレス化やワークフローシステムの導入によって業務を可視化し、無駄を省くことが、総務の生産性向上には不可欠です。
総務の労働環境を改善する方法
総務の課題を解消するためには、業務内容の可視化や標準化、外部資源の活用、IT導入など、多角的なアプローチが求められます。ここでは、課題解消に向けた方法を紹介します。
総務の仕事内容を具体的に可視化する
まずは、総務が日々行っている業務を洗い出し、その内容・発生頻度・所要時間・関係部署を一覧化します。これにより、過剰な負担がかかっている業務や重複作業を明確化することが可能となり、人員配置の見直しや業務削減の判断材料にもなります。
たとえば、イベント運営や備品管理など頻度の高い業務は、専門担当を置くことで効率化が可能です。
業務マニュアルを作成・更新する
属人化を防ぎ、誰でも同じ品質で業務を行えるようにするためには、マニュアル化が不可欠です。よく発生する業務や重要な手続きについて、手順や判断基準、使用する書式などを明文化し、社内で共有します。
また、マニュアルは作成して終わりではなく、法改正や社内ルールの変更に合わせて定期的に更新することが大切です。これにより、引き継ぎや新人教育もスムーズになります。
社外の専門会社に仕事の一部を委託する
総務業務の中には、外部に委託することで効率化できるものがあります。
たとえば、専門性の高い法務業務、社内イベントの運営、清掃や設備点検などが挙げられます。ただし、機密情報や社内限定の業務は外部委託に適しません。
適切なアウトソーシングは、総務の負担軽減と業務品質の向上に直結するため、委託範囲と責任分担を明確にし、契約で守秘義務や品質基準を定めることが重要です。
ITツールを導入する
総務の業務効率化には、ITツールの導入が有効です。タスク管理やワークフロー、電子契約、ペーパーレス化を実現できるシステムは多岐にわたります。
たとえば、備品管理をクラウドで行えば、在庫状況や発注履歴をリアルタイムで共有できます。また、ワークフローシステムを導入すれば、申請・承認プロセスをオンライン化し、時間短縮やミス削減につながります。
総務の業務効率化に役立つITツール
ここでは、総務業務の効率化に役立つ代表的なITツール「IZANAI」と「ActiBook」について、その特徴と活用例を紹介します。
IZANAI(イザナイ) |FAQを最適化し問い合わせ業務を対応
IZANAIは、チャット形式で業務案内やFAQ対応を自動化できるツールです。総務部門では、よくある社内問い合わせ(休暇申請方法、備品発注手順、施設利用ルールなど)に自動応答させることで、担当者の負担を大幅に軽減できます。また、会話ログを分析し、問い合わせ傾向を可視化することで、業務改善にも活用できます。簡単な設定で運用を開始できる点も魅力です。
IZANAI(イザナイ)の主な特徴
- 社内資料やWebページを登録するだけで回答が可能
- PDF・Excel・WebサイトのURLなど、複数ソースを同時に学習
- FAQ整備が不十分でも、曖昧な質問に対応
- 面倒なシナリオ設計が不要
- 2週間の無料トライアル可能
参考:FAQを最適化するAIチャットボット|IZANAI Powered by OpenAI
ActiBook(アクティブック) |マニュアルを電子ブックで作成
ActiBookは、PDFや社内資料をデジタルブック化して共有できるクラウドサービスです。総務では、社内マニュアル、就業規則、災害時対応手順などをオンライン化し、常に最新情報を社員に提供できます。
閲覧状況を分析して、どの資料がよく参照されているか把握できるため、必要に応じた情報更新や周知の強化が可能です。紙の配布や差し替え作業を削減し、業務の効率化とコスト削減を両立できます。
参考:わずか3ステップ「無料」で電子ブック作成|ActiBook(アクティブック)
総務の全体像を理解し、効率化で価値を高める
総務は、会社の運営基盤を支える重要な部署です。文書管理や備品・設備の維持、契約管理、社内行事の企画運営、来客対応など、多岐にわたる業務を担い、社内外との調整役として機能します。
一方、幅広い経験やスキルを身につけられるものの、業務量の多さや属人化、人手不足といった課題も存在します。これらの課題は、業務の可視化やマニュアル化、適切な外部委託、そしてITツールの導入によって改善可能です。
とくに「IZANAI」や「ActiBook」のようなツールは、情報共有や問い合わせ対応の効率化に直結し、総務の価値をさらに高めることになります。自社の現状と課題を正しく把握し、戦略的に業務改善を進めることが、企業全体の成長にもつながります。