ヘルプデスクと社内SEの違いを比較|業務範囲や最適化するポイントも解説

更新日 公開日 2025/08/18

社内のITに関するトラブル対応やシステム整備を一手に引き受ける担当者が、日々の問い合わせ対応に追われ本来の業務が手につかない、そんな悩みを抱えていませんか?

ヘルプデスクはユーザー対応、社内SEはIT基盤の構築・運用という明確な役割を持っています。本記事では、それぞれの違いや最適な役割分担の方法を解説します。まずは両者の業務を正しく理解し、自社に合った運用体制の見直しから始めてみましょう。

目次

比較表|ヘルプデスクと社内SEの違い

ヘルプデスクと社内SEは、どちらもIT環境をサポートする役割を担いますが、その対象や業務範囲には明確な違いがあります。以下の比較表でそれぞれの特徴を整理してみましょう。

項目 ヘルプデスク 社内SE
役割 主にPCやソフトウェアの使用方法、トラブルの問い合わせに対応し、ユーザーがITシステムやアプリケーションを支援する一次対応窓口。ITIL(Information Technology Infrastructure Library)において、利用者の満足度に影響を与える重要な機能とされている。 自社で利用するITインフラ全体(システム・ソフトウェア・ネットワークなど)の設計・管理・保守を担う。社内で新たなシステムを導入する際の環境構築や、PC・プリンタなどの設定、トラブルシューティングも担当。
対応範囲 顧客と自社スタッフの両方がサポート対象。製品の使い方や故障に関する問い合わせ対応に加え、FAQ公開やアップデートのお知らせなどの情報発信も行い、社内・社外からの幅広い問い合わせに対応。 主な対象は社内。企業規模によっては、ユーザーサポートやヘルプデスク業務を兼任することもありますが、対応範囲は社内に限定される。

ヘルプデスクと社内SEは、IT環境のフロントとバックを支える関係にあり、役割を分担しつつ密接に連携しています。ヘルプデスクは、社内外から寄せられるIT関連の問い合わせを一元的に受け付ける窓口の役割を担っています。一方で、社内SEは、自社システムの設計・管理・保守など、専門的なバックエンド業務を担当する立場です。

このように両者が補完し合うことで、迅速かつ安定したITサービスの提供が可能になります。役割の混在を避け、適切な分担を行うことが、IT部門全体の生産性向上につながります。

ヘルプデスクの主な5つの業務

ヘルプデスクの役割は、システムやPCに関するさまざまな問い合わせに対応し、ユーザーをサポートすることです。その業務は多岐にわたり、IT環境の安定稼働と、利用者の円滑な業務遂行を支える基盤となっています。以下に、ヘルプデスクの主な業務を5つに分けて解説します。

1)IT関連問い合わせ対応

ヘルプデスクの主要な業務は、社内外のユーザーからのIT関連の質問やトラブル報告に対応することです。具体的には以下のような内容です。

  • ソフトウェアやシステムの使用方法
  • PCや周辺機器の操作方法
  • 障害発生時の初動対応や案内

対応手段としては、電話、メール、チャットなどを活用し、迅速かつ丁寧に問題を解決することが求められます。

2)PCや周辺機器の初期設定・配布・回収

ヘルプデスクの重要な業務のひとつは、社員が使用するPCやプリンターなどの周辺機器の初期設定、設置、そして配布を行うことです。新しいPCの導入時には、OSのインストールや必要なソフトウェアのセットアップを適切に行い、社員がすぐに業務を開始できる環境を整えます。

また、機器の入れ替えや退職時には、クリーニングや撤去、回収作業も担当し、社内のIT資産管理を円滑に進める役割を果たしています。

3)基本的なトラブルシューティング

ヘルプデスクは、ユーザーが直面するIT関連の様々なトラブルに対して、原因を特定し解決策を提示するトラブルシューティングを行います。主な対応例は以下のとおりです。

  • PCのフリーズ
  • ネットワーク接続の不具合
  • ソフトウェアや周辺機器の故障

問題解決のために調査を行い、必要に応じて上位の技術者や関連部署にエスカレーション(引き継ぎ)することもあり、迅速な解決を通じて業務の中断を最小限に抑えることに貢献しています。

4)よくある質問(FAQ)やマニュアルの作成・更新

ヘルプデスクは、ユーザーが自己解決できるように、よくある質問(FAQ)や操作マニュアルの作成・更新も行います。これは、システムやアプリケーションの操作方法、一般的なトラブルの対処法などを分かりやすく文書化し、ナレッジとして蓄積する重要な業務です。

これらのドキュメントを整備することで、問い合わせ件数の削減につながり、ユーザーの利便性を向上させるとともに、ヘルプデスク自身の業務効率化にも寄与しています。

5)新入社員へのシステム初期設定支援

ヘルプデスクの業務には、新入社員や異動者へのシステム初期設定支援も含まれています。主な対応例は以下のとおりです。

  • アカウントの発行・設定
  • 業務システムの操作説明
  • ネットワークやデバイスの利用ガイド

また、操作方法に関する勉強会の開催やガイドラインの提供を通じて、新入社員がスムーズにIT環境に慣れ、業務に速やかに取り組めるようサポートする役割も担っています。

社内SEの主な5つの業務

社内SEは、企業のIT環境を支える上で不可欠な存在です。その業務内容は多岐にわたり、ITインフラの安定稼働から事業成長への貢献まで長期的な視点でITを管理し、進化させる役割を担っています。

1)システムの運用と保守

社内SEの主な業務は、社内システムやアプリケーションの開発と運用、既存システムの保守・改善です。サーバーのセットアップ、バックアップ実施、障害対応など、ITインフラ全般を管理し、システムの安定稼働を維持する役割を担っています。

日々の監視と定期的なメンテナンスを通じて、システムトラブルを未然に防ぎ、企業の業務効率化と継続的な運営に貢献しています。

2)社内業務システムの設計から開発・導入

社内SEは、企業内の業務効率化を目的として、新たな業務システムやアプリケーションの企画・設計から開発、導入までを一貫して担当します。プログラミング言語を活用したシステム構築の経験は、業務の効率化やITインフラの安定性に大きく貢献しているといえるでしょう。

さらに、ユーザー部門と密に連携しながら、実際のニーズに即したシステムをかたちにしていきます。既存システムの改修や新機能の追加も、業務改善に欠かせない重要な役割の一つです。

3)ITインフラの構築と管理

社内SEは、社内ネットワーク、サーバー、ストレージといったITインフラ全般の管理・運用を担当する職種です。これには、サーバーのセットアップやバックアップの実施、障害発生時の迅速な対応が含まれます。

セキュリティ対策も欠かせない業務の一つで、情報漏洩や不正アクセスを防ぐための管理や更新を行います。さらに、最新の技術トレンドを積極的に取り入れ、常に最適で安全なIT環境を提供することが求められます。

4)社員へのシステム利用指導やマニュアル作成

社内ヘルプデスク業務の一部として、社内SEは社員からのIT関連の問い合わせに対応します。システムの使い方や操作方法に関する説明資料を作成したり、必要に応じて直接指導を行ったりもします。これにより、社員がITツールを円滑に利用できるようサポートし、業務の生産性向上が可能です。

ITリテラシーの向上を支援することで、社員一人ひとりの生産性向上にも貢献します。

5)外部ベンダーとの調整

外部ベンダーとの円滑なコミュニケーションを通じて、プロジェクトの要件定義や進捗管理、スケジュール調整などを行うことも社内SEの業務です。特に大規模なシステム導入や改修プロジェクトでは、ベンダーとの連携が成功の鍵となるため、プロジェクトマネージャーとしての役割も求められます。

中立的な立場から最適なソリューションを提案することもあります。ベンダー選定から契約交渉まで、企業にとって最適なIT投資を実現するための重要な役割を担うのが、社内SEの仕事です。

ヘルプデスクと社内SEを兼任するデメリット

中小企業では、社内SEがヘルプデスク業務を兼任しているケースが少なくありません。しかし、この状況は担当者に過度な負担をかけ、「何でも屋」として扱われる原因になっています。

突発的なヘルプデスク対応に追われる状況では、ITインフラの整備やシステム開発、セキュリティ対策といった本来の重要業務が後回しになる恐れがある状態です。

これにより、長時間労働やストレスが増加します。さらに、業務の属人化やセキュリティリスクの増大、専門スキルを習得する機会の喪失、業務品質の低下といった問題も発生します。

 

ヘルプデスクや社内SEを最適化する効率ポイント

ヘルプデスクと社内SEは、企業ITを支える要です。業務の増加に伴い、担当者の負担も増しています。効率的な運用が急務です。ここでは、最適化のポイントを解説します。

1.明確な役割分担の確立

ヘルプデスクと社内SEの役割を明確にすることは、業務効率化に不可欠な最適化ポイントです。

  • ヘルプデスク:日常的なIT関連の問い合わせ対応に特化し、ユーザーの問題を迅速に解決
  • 社内SE:システム開発やインフラ整備、セキュリティ対策といった中長期的なIT戦略を担当

これにより、組織全体の生産性向上に貢献できるでしょう。

2.トレーニングとマニュアル整備

トレーニングとマニュアルの整備も、ヘルプデスクの業務効率化と品質向上に欠かせない最適化ポイントです。定期的な研修によって担当者のスキルを高めるとともに、よくある問い合わせに関するマニュアルやFAQを整備することで、利用者による自己解決が促されます。結果として、問い合わせ件数の大幅な削減が期待できます。

3.社内情報を一括管理可能なシステム導入

社内情報を一括管理可能なシステム導入は、ヘルプデスク業務の効率化に不可欠な最適化ポイントです。問い合わせ管理ツールやナレッジ共有ツールで情報を集約・可視化すれば、対応漏れや二重対応を防ぎ、迅速な問題解決と業務効率向上が図れます。これにより、よりスムーズなサポートが実現できるでしょう。

ヘルプデスクと社内SEの違いを理解しIT体制を強化

ヘルプデスクと社内SEは、ITサポートとシステム構築という異なる役割を担い、企業ITを支える両輪です。それぞれの業務内容や最適化のポイントを理解することで、業務効率と社員満足度を高める体制づくりが可能になります。IT部門の戦略的な強化を図るためにも、適切な役割分担とツール導入の検討が重要です。

自社の課題を明確にし、それぞれの職種に求める機能を整理することで、より実践的かつ持続可能なIT運用体制の構築につながります。

執筆者 浦 将平

AIチャットボットのプロダクトマネージャー。

7年間にわたり、法人向けの顧客管理ツール、データ統合ツール、CMS、チャットボット、電子ブックのマーケティングを担当し、BtoB領域でのプロダクトの成長に携わる。マーケティング戦略の立案から実行までを幅広く手がけ、業務プロセスの仕組み化を得意とする。

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