情シス(情報システム)の属人化を解消するには?原因や対処法を解説

更新日 公開日 2025/10/03

社内のシステムやIT環境を支える情シス(情報システム部門)は、業務のやり方やノウハウが特定の担当者に依存してしまう「属人化」が起こりやすい部門です。属人化が進むと、担当者が休職・退職した際に業務が滞ったり、IT戦略が進められなかったりと大きなリスクにつながります。

この記事では、情シスにおける属人化の現状やリスク、解消のメリット、具体的な対策方法や役立つツールを分かりやすく解説します。

目次

属人化とは

属人化とは、特定の人だけが業務の知識や進め方を知っており、その人に依存している状態を指します。たとえば、社内システムの運用をひとりで担っていて、その担当者しか設定方法を理解していないという状態です。属人化が起こると、他の社員は同じ作業を行えなくなり、担当者が休職や退職をした際に業務が止まってしまい、サービスの質が低下するおそれがあります。

情報システム部門(以下、情シス)のように専門性が高い部門では特に起こりやすく、一度属人化が進むと引き継ぎも困難です。業務がブラックボックス化すると会社全体のリスク要因となるため、事前に業務手順を文書化して共有できる仕組みを整えるなど、仕事の標準化を図る必要があります。

情シス(情報システム)でよくある属人化の状態

属人化は、特定の担当者に知識や作業が集中してしまうことで起こります。現場で「○○さんがいないと業務が進まない」「退職されたら困る」といった声があがったら属人化のサインです。

特に「ひとり情シス」と呼ばれる、1人でシステム部門を支えるケースは、依存度が高まりやすい状況です。システム障害や社内のIT相談に対応できる人材が限られているため、問題解決が担当者だけに集中してしまいます。休職や退職といった事態が起きると業務が停滞し会社全体に影響を及ぼします。

また、情シスはネットワーク障害やサーバの不具合といった専門領域だけでなく、社員のPCトラブルや通信環境の質問まで抱え込む例も少なくありません。幅広い相談が情シスに集中すると、本来の業務の属人化対策がおろそかになり、部門の健全な運営を妨げる原因となります。

情シス(情報システム)の業務が属人化しやすい理由は?

情シスで業務の属人化が起こりやすいのはなぜでしょうか。その理由は「人手不足」「業務における専門性の高さ」そして「そもそも組織の仕組みにより属人化している」といったケースがあります。

人手不足

情シスは少人数で運営されることが多く、業務量に対して人員が足りない状況が続くと、後任を育てる環境や知識を共有する時間が十分に確保できず属人化が進みます。

また、情シスは直接売上に結びつきにくい部署のため、人員の割り振りが後回しになりがちです。その結果、限られた人材に作業が集中し、属人化のリスクが高まります。

専門的な知識を求められる業務が多い

情シスでは、PCハードウェア、ネットワーク、セキュリティ、システム保守など幅広い専門知識が必要です。新人の教育にも時間と手間がかかり、すぐに戦力化できる人員は限られます。こうした背景から少人数で部署を運営せざるを得ない、という状況になりやすく、特定担当者に業務が偏り、属人化しやすい状況が生まれます。

情報共有の仕組みが整っていない

日々の業務が忙しいと、マニュアル作成や情報共有システムの導入が後回しになりがちです。その結果、業務知識が担当者に集中し、他の社員が参照できる情報が不足します。仕組みが整っていないと、情報のブラックボックス化が進み、業務が滞るリスクも高まります。

あえて属人化している場合がある

情報共有の空気や評価制度が整っていない場合、担当者は自発的に情報を共有しないことがあります。共有には時間がかかるうえ、他の社員も同じ業務ができるようになると自分の価値が低下すると感じるためです。こうした理由から、あえて自分だけが扱える業務を残し、属人化させるケースも見られます。

情シス(情報システム)の業務が属人化するリスク

情シスの業務が属人化すると、社内全体に深刻な影響が出ます。担当者の不在で業務が滞り、戦略や改善も進まなくなるためです。以下で主な問題点を紹介します。

担当者がいなくなると業務に支障が出る

属人化した業務は、特定の担当者だけが進め方や内容を把握しています。そのため、休職や退職で不在になると引き継ぐ人がいない状況が生まれ、トラブル対応や日常作業に遅れが発生します。結果として、サービス品質の低下や業務遅延の原因となります。

IT戦略の推進が難しくなる

属人化した状況では、担当者が日常業務で手一杯になり、IT戦略の立案や実行に割ける時間がほとんどありません。IT化が進む昨今、戦略的なシステム導入や効率化は企業の成長に不可欠です。しかし属人化により担当者が作業に追われると、新しいシステム導入や業務改善案の検討が後回しになり、結果的に企業の競争力が低下するおそれがあります。

業務改善に時間がかかる

業務が属人化していると、改善に時間がかかります。特定の担当者しか業務内容を把握していないため、問題があっても第三者は気が付きにくく、適切にマネジメントができないためです。担当者自身も「今までのやり方で十分」「他の業務を優先したい」と考え、改善に積極的に関わらない場合があります。たとえば、手順の非効率やシステム運用のムダに気づいても、改善提案が後回しにされるというケースが見られます。こうした状況では、業務改善がなかなか進まず、非効率な状況が続きます。

担当者の負担増加

業務が属人化すると、トラブル対応や日常業務が特定の担当者に集中し、心理的・肉体的負荷が増大します。ミスや過労が発生しやすく、離職につながることも少なくありません。さらに担当者が不在の際、ほかの社員は手順を把握していないため、対応が遅れ問題が拡大する場合があります。ひとりに負担がかかる状況は、業務全体の安定性が損なわれ、組織の運営にも影響が出ます。

人材の育成が難しくなる

属人化した業務は、知識やノウハウが社内に蓄積されません。独自のスタイルで築き上げられた業務手法は再現性がなく、誰かが真似しようと思ってもできない、担当者任せの状況に陥るためです。担当者が異動や退職すると、その業務に関する情報や技術も失われ、後任者はゼロから学ぶ必要があります。こうした状況は、部門全体の戦力や成長が遅れるリスクがあります。

情シス(情報システム)の属人化を解消するメリット

情シスの属人化を解消すると、業務の効率化や品質維持、人材育成の容易さなど、さまざまなメリットが得られます。ここでは属人化解消の具体的なメリットを紹介します。

業務効率を向上させられる

属人化を解消すると、業務を複数の担当者で共有できるようになります。たとえば、担当者が急に休む場合でも他の社員がサポートでき、作業の遅れやトラブル対応がスムーズになります。また、負担が分散されることで心理的な余裕も生まれ、全体の業務スピードの向上も期待できます。日常の作業だけでなくIT戦略の立案や改善活動にも時間を割きやすくなるのもメリットです。

業務の品質の維持・向上につながる

属人化を解消すると、業務手順が標準化されます。そのため、ベテランも新人も同じ基準で作業を行えるようになり、業務の品質が安定します。さらに、複数人で確認し合う体制が整えば、個人では気づきにくいミスを防ぐことも可能です。こうした体制が整うと、誰が行っても品質が一定に保たれるほか、業務の信頼性が高まり、社内外のトラブルやクレームを減らす効果も期待できます。

人材を育成しやすくなる

属人化を解消する過程でマニュアルを整備すると、育成用の資料として活用できます。担当者が異動や退職で不在になっても、現場が混乱しにくくなり、新人教育もスムーズです。たとえば、サーバー管理や社内システムの運用手順を文書化しておくことで、新任者でも先輩社員の手を借りずに基本業務を習得できます。マニュアルは随時更新できるため、ノウハウを蓄積しつつ教育の効率も上げることも可能です。

コストを削減できる

属人化解消のために作成したマニュアルは、新人教育にも利用できます。たとえば、サーバーやネットワークの設定手順、日常のトラブル対応方法を文書化しておけば、新人が入った際に教育担当者が1つずつ教える必要がなくなり、教育にかかる時間や人件費を抑えられるのが大きなメリットです。マニュアルに沿って業務を進めることで、急な担当者の異動や欠勤があっても混乱は最小限に抑えられます。

情シス(情報システム)の属人化を解消する方法

属人化を解消するには、解消には、人に依存しない仕組みづくりが必要です。そのためには「業務内容の分析」「ツール導入」「アウトソーシング」「マニュアル化」といった方法が挙げられます。

情シス(情報システム)の業務内容を細かく分析する

情シスの業務を属人化させないためには、まず、業務内容を具体的に洗い出して、業務の全体像を明らかにすることが大切です。担当者へのヒアリングを通じて、普段どのような作業を行っているのか、詳細まで確認します。

業務内容を細分化して分析すると、無駄な手間が発生している部分や、ヒューマンエラーが起こりやすい箇所も発見できます。また、本当に必要な業務が抜け落ちている可能性も見つけられます。業務のプロセスを可視化することで、属人化を防ぐだけでなく、現状の課題が明らかになり、効率化や改善に向けた対策を立てやすくなります。

作業を効率化するツールを導入する

情シス業務の属人化を防ぐために、ITツールを活用して作業を効率化するのも有効な手段です。たとえば、社内のIT機器やソフトウェア、アクセスログなどを自動で管理できるツールを導入すると、担当者の負担を軽減できます。また、問い合わせ対応を効率化できるチャットボットも役立ちます。

こうしたツールを利用することで、特定の担当者しか対応できなかった業務も、システムで自動化できます。誰でも情報にアクセスできるようになり、業務のブラックボックス化を防ぎます。ただし、ツール導入にはコストがかかるため、目的を明確にした上で、長期的な視点で検討することが重要です。

業務の一部をアウトソーシングする

情シスの業務を外部に委託する「アウトソーシング」も、属人化の解消に役立ちます。アウトソーシングをすれば、専門的な知識を持ったプロに業務を任せられるため、社内の担当者の負担軽減につながり、情シス担当者はより重要なコア業務に集中できるでしょう。

ただし、アウトソーシングする際は、情報漏洩に注意が必要です。外部に開示する情報を厳選し、契約内容やセキュリティ対策について、事前にしっかりと確認します。社外秘の情報が外部に流出しないよう、慎重に進めることが大切です。

マニュアルを作成する

業務の進め方や、トラブル発生時の対応策をまとめたマニュアルを作成することも、属人化の解消に有効です。マニュアルがあれば、特定の担当者しか知らなかった業務内容をチーム内で共有でき、業務の標準化が進みます。また担当者が不在でも、他のメンバーがスムーズに対応できるようになります。

マニュアルの作成には時間や手間がかかるため、マニュアル作成ツールを導入して効率化を図るのもおすすめです。業務を洗い出し、まずは基本的な流れをまとめた簡易的なものから作成すると良いでしょう。その後、実際に業務を行いながら内容を随時更新していくことで、より実用的なマニュアルに育てていくことができます。

参考:社内の質問をAIチャットボットで回答「IZANAI(イザナイ)」

参考:マニュアルを電子ブックで作成「ActiBook(アクティブック)」

情シス(情報システム)の属人化の解消に役立つツール

情シス業務の属人化対策は、ツールをうまく活用することが効果的です。特に、社内ナレッジの共有を助けたり、問い合わせ業務を効率化したりするツールは、属人化の解消に役立ちます。たとえば、チャットボットツールや電子ブック作成ツールは属人化の悩み解消に有効なツールです。

ここでは、属人化の解消に役立つ、チャットボットツールIZANAIと、電子ブック作成ツールActiBookを紹介します。自社の課題に合うツールを見つけるための参考にしてください。

特徴 IZANAI ActiBook
主な機能 AIチャットボット、FAQ自動生成 電子ブック作成、ナレッジ共有
得意なこと 社内問い合わせ対応の効率化、FAQの自動化 マニュアルや資料の共有、閲覧状況の分析
適している課題 頻繁な問い合わせ対応に追われている、口頭での情報共有が多い 紙の資料やPDFが多く、情報を探しづらい、マニュアルの活用度が低い

その問い合わせ、AIが答えます|AIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」

毎日のように届く、同じような質問への対応に時間を取られていませんか?

AIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」は、社内外の問い合わせ業務を自動化できるAIチャットボットです。PDFファイルやWebサイトのURLを登録すると、AIが自動で学習し、質問に回答してくれます。OpenAIのAPIを活用しつつも、データベースはプライベートなため、セキュリティ対策も安心です。

情シスの属人化は、業務内容が共有されずに特定の担当者へ問い合わせが集中することで起こりがちです。IZANAIを導入すれば、社内のルールや手続きといったよくある質問への対応を自動化でき、どういった質問が多いのかなど問い合わせの傾向も確認できるようになります。属人化防止につながるほか、業務効率化や担当者の負担軽減にも役立つでしょう。

公式サイト:FAQを最適化するAIチャットボット|IZANAI Powered by OpenAI

資料・動画を簡単に電子ブック化「ActiBook(アクティブック)」

マニュアルが多くなると情報検索に時間がかかり、「マニュアルに書いてあるのに…」という問い合わせも増加します。

電子ブック作成ツール「ActiBook(アクティブック」は、PDFやWord、PowerPointなどのファイルを電子ブックに変換できるツールです。紙やPDFとして点在していた情報を一元管理でき、作成した電子ブックはWebサイトとして社員間で共有できます。閲覧制限を設けて、マニュアルや営業用資料などをまとめた「社内向け限定資料サイト」の構築も可能です。

ActiBookを使えば、資料を探す時間が削減できるほか、誰がどの資料をどれくらい読んだかという閲覧履歴も分析できます。分析情報を基にした、効率的なマニュアル改善が行えるでしょう。

公式サイト:電子ブック作成ツール「ActiBook」

情シス(情報システム)の属人化対策を始めよう

情シスの属人化は、業務が特定の担当者に集中することで発生します。そのまま放置すると、問い合わせ対応が遅れたり、業務効率が下がったりする原因になるため、早めの対策が大切です。

属人化の解消方法は、現状分析や、ツール・ウトソーシング活用、マニュアル作成などがあります。整備を少しずつでも整備を進めることで、属人化のリスクを減らすことが可能です。まずは小さな改善から取り組んでいきましょう。

チャットボットや電子ブックは、属人化対策の手助けに有効なツールです。うまく活用することで、業務の効率化だけでなく、社員の自己解決能力を高めることにもつながります。興味がある方はぜひ、ツール導入も検討してみてください。

執筆者 浦 将平

AIチャットボットのプロダクトマネージャー。

7年間にわたり、法人向けの顧客管理ツール、データ統合ツール、CMS、チャットボット、電子ブックのマーケティングを担当し、BtoB領域でのプロダクトの成長に携わる。マーケティング戦略の立案から実行までを幅広く手がけ、業務プロセスの仕組み化を得意とする。

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