ナレッジマネジメントの7つのメリット|デメリットや導入成功事例も解説

更新日 公開日 2025/09/18

業務の属人化や情報の散在、教育コストの増加に課題を感じていませんか。組織内の知識やノウハウを可視化・共有し、業務効率化と競争力強化を実現する方法として、「ナレッジマネジメント」が注目されています。

本記事では、ナレッジマネジメントの7つのメリットに加え、導入時に注意すべきデメリットと対策、成功事例を解説します。

目次

ナレッジマネジメントの7つのメリット

ナレッジマネジメントは、組織内に散在する知識や経験、ノウハウを効率的に共有し、活用するためのプロセスを指します。この取り組みにより、企業は様々な問題の解決が可能です。以下では、ナレッジマネジメントが企業にもたらす7つのメリットを紹介します。

メリット1.業務スピードの向上による生産性改善

ナレッジマネジメントを導入することで、社員は過去の成功事例や失敗事例から学び、同じ過ちを繰り返すことなく効率的に業務を進められるようになります。組織全体の知識が共有されることにより、必要な情報やノウハウに迅速にアクセスでき、情報収集にかかる時間を大幅な短縮が可能です。

その結果、業務効率が向上し、より少ない経営資源で多くの成果を生み出せるようになり、企業全体の生産性向上につながります。

メリット2.新人教育の時間とコストを削減

ナレッジマネジメントを導入すると、新入社員や若手社員の教育プロセスの効率化が可能です。ベテラン社員が持つ「暗黙知」と呼ばれる言語化しにくい知識は、「形式知」として文書やマニュアルに変換され、組織全体で共有されます。

その結果、OJT(On-the-Job Training)に過度に依存せず、誰でも一定水準のスキルを効率的に習得できる環境を整えられます。この結果、教育にかかる時間やコストを最小限にとどめることが可能です。

メリット3.業務の属人化を防止

特定の従業員に依存していた知識やノウハウは、ナレッジマネジメントの導入によって組織全体で共有されるようになります。個人の経験やスキルに基づく言語化が難しい「暗黙知」は、マニュアルや報告書などの「形式知」に変換され、文書として記録されます。社員が退職した後も、その知識は企業内に資産として残すことが可能です。

この取り組みによって、特定の個人に業務が集中する状態を防ぎ、離職による組織全体の戦力が低下するリスクを軽減できます。

メリット4.顧客対応の品質向上

カスタマーサポート部門など、顧客と直接接する業務において、ナレッジマネジメントはサービスの質を飛躍的に高めます。顧客からの問い合わせやトラブル対処に関する具体的な事例、製品やサービスに関する知識、さらには優れたオペレーターの対応例などをデータベース化し、素早く検索できる仕組みを構築することが可能です。

これにより、サポートスタッフは迅速かつ正確な情報を提供でき、顧客満足度の向上に繋がります。また、よくある質問をFAQとして公開することで、顧客自身が問題を自己解決できるようになり、問い合わせ対応の負荷軽減にもつなげられます。

メリット5.部門間の連携やスキルの底上げ

ナレッジマネジメントは、組織内の異なる部門間での知識共有を促進し、全体的な連携を強化します。各部門が持つ専門知識や業務プロセスが可視化されることで、他部門の業務フローへの理解が深まり、新たな視点から業務を見直すきっかけが生まれることがあります。

これにより、部門や部署の枠を超えた協業が活発化し、ITツールだけでは実現しにくい創造性や協業を取り入れた組織体制を築くことが可能です。

メリット6.新しいアイデアや改善策が生まれやすくなる

ナレッジマネジメントの大きなメリットは、イノベーションを強力に推進できることです。異なる部門や立場の社員が知識や経験を共有することで、それぞれが持つアイデアや解決策が融合し、新しい発想が生まれやすくなります。

蓄積された顧客データや市場分析、製品情報などを統合的に活用することで、新たなビジネスチャンスを発見し、データに基づいた戦略的な意思決定が可能です。また新しい製品やサービスの開発、または既存業務の画期的な改善に繋がることも期待できます。

メリット7.コスト削減によるROIが向上

ナレッジマネジメントは、組織全体のさまざまな側面でコスト削減を実現し、結果として投資収益率(ROI)の向上に寄与します。たとえば、新人教育の効率化により教育コストを削減できるだけでなく、業務マニュアルやFAQの整備を通じて情報検索にかかる時間を大幅に削減し、業務効率を向上させます。

また、顧客対応の迅速化と自己解決の促進により、顧客サポートに必要な人員や時間を最適化し、経費削減も可能です。これらの効率化やコスト削減が積み重なることで、企業はより少ない投資で大きな成果を得られるため、長期的な視点でのROI向上が期待できます。

企業運営のナレッジマネジメントとは知識の共有と活用

ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識やノウハウを組織全体で共有し、生産性の向上や新規事業の開発につなげる経営手法を指します。これは単なる情報共有とは異なり、個々の経験や知見を組織の資産へと昇華させ、活用する重要な取り組みといえます。

終身雇用制度の崩壊や働き方の多様化が進む現代では、自然な知識継承が難点です。そのため、意図的にナレッジを共有し、組織全体の競争力を強化する目的で、ナレッジマネジメントが求められています。情報共有とナレッジマネジメントの違いは、以下のとおりです。

項目 情報共有 ナレッジマネジメント
目的 情報を伝達すること 知識を活用して成果を出し、
組織力を強化すること
内容 データ、事実、客観的情報 個人の持つ知識、経験、
ノウハウ(暗黙知・形式知)
活用 一時的な情報参照、伝達 継続的な知識の深化、組織資産化、
イノベーション促進

知っておくべきナレッジマネジメントのデメリット・課題

ナレッジマネジメントは多くのメリットをもたらす一方で、導入や運用には注意すべき課題も存在します。ナレッジマネジメントの課題を理解し、適切な対策を講じることも重要です。

ここでは、ナレッジマネジメントを導入する際に認識しておくべき主なデメリットについて、解説します。

知識の整理と更新に手間がかかる

ナレッジマネジメントを進めるには、組織内に散在する膨大な知識や経験を形式知として集約し、活用可能な状態に保つ必要があります。特に、個人の経験から培われた「暗黙知」を、誰もが理解できるマニュアルやデータとして言語化・可視化するプロセスは非常に難しい作業です。

さらに、組織の状況や業務内容の変化に合わせ、一度形式知化した情報を継続的に更新・整備する取り組みも欠かせません。効果的なナレッジマネジメントを実現するには、これらの取り組みを継続的にリードする専門の担当者の存在が求められる場合もあります。

導入初期は時間とコストがかかる

ナレッジマネジメントを本格的に導入するには、適切なツールの選定から導入、環境整備に至るまで、一定の時間と初期コストが必要です。たとえば、どの知識を形式知化し共有すべきかを把握するために、各部署へのヒアリングや現場観察といったプロセスも欠かせません。

さらに、ツールの導入費用だけでなく、維持費や月額利用費といったランニングコストも発生します。これらを総合的に考慮し、自社の目的に合ったツールを選定することで、無駄なコストを抑えることが重要です。

社員に活用されない可能性がある

ナレッジマネジメントは、ツールを導入しただけでは成功しません。多くの社員は日々の業務で多忙なため、自身の知識を共有するメリットを感じにくく、積極的に協力しないことがあります。成果主義の企業では、自身の持つ独自のノウハウを他者と共有することに抵抗を示す社員も少なくありません。

「なぜ必要なのか」「どんなメリットがあるのか」という目的や意義が十分に理解・浸透していないと、共有活動へのモチベーションが低下します。システムが有効に活用されないリスクがあるため注意が必要です。

ナレッジマネジメントのメリットを活かす重要ポイント

​​ナレッジマネジメントは、多くの企業にとって業務効率化や競争力強化の重要な手段です。しかし、そのメリットを最大限に引き出し、形骸化させずに成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

ここでは、ナレッジマネジメントの導入・運用において意識すべき具体的な要素について解説します。

目的とビジョンの明確化

ナレッジマネジメントを組織に浸透させるには、目的とビジョンを明確に設定し、社員全員で共有することが必要です。なぜナレッジマネジメントが必要なのか、それによってどのような成果を目指すのかが曖昧なままでは、社員は情報共有にメリットを感じにくく、積極的な協力を得にくくなります。

目的を具体的にすることで、社員の意識が高まり、自身の役割や貢献を理解しやすくなり、ナレッジ共有へのモチベーションも向上します。導入初期から、具体的なメリットを伝える啓蒙活動を行い、全社員が一丸となって取り組む環境を整えることが成功の鍵です。

部門間の連携強化

ナレッジマネジメントは、単に個々の知識を蓄積するだけでなく、組織内の部門間連携を強化するためにも不可欠です。情報共有が円滑に行われることで、部署間の伝達ミスが減少し、コミュニケーションが活性化します。共有されたナレッジは知恵やアイデアの宝庫となり、積極的な意見交換を促すため、部門を越えた共同作業や問題解決が可能です。

このように、ナレッジの共有を通じて組織全体で協力しやすい環境を築くことは、業務効率や品質管理の向上、さらには企業競争力の強化に直結します。

情報の収集・整理・共有

ナレッジマネジメントを成功させるには、知識やノウハウを体系的に収集し、整理・分類する仕組みを整えることが欠かせません。情報が整理されていない、あるいは形式が統一されていない状態では、必要な情報にすぐアクセスできず、かえって業務の非効率化を招く恐れがあります。

カテゴリ分けや定期的な更新によって、常に最新で質の高いナレッジを維持することが重要です。また、社員が気軽にナレッジを共有できるよう、FAQシステム、チャットツール、社内SNSなど、目的に適した仕組みやツールを導入し、継続的な情報共有を促すことが大切です。

参考:FAQを最適化するAIチャットボット|IZANAI Powered by OpenAI

適切なツールの選択と導入

ナレッジマネジメントのメリットを最大限に活かすためには、自社の課題や目的に合致した適切なツールを選び、導入することが重要です。ツール選びでは、社員が直感的に操作できる高い操作性や、機密情報を保護するための強固なセキュリティ対策を重視することがポイントです。

また、最初から多機能なツールを導入するのではなく、部署や拠点を絞ったスモールスタートで始め、段階的に規模を拡大できる柔軟性も考慮することがおすすめです。さらに、導入後の定着には時間とコストがかかるため、充実したサポート体制を提供するベンダーを選ぶことも成功の鍵となります。

メリットを活用したナレッジマネジメントの導入事例

ナレッジマネジメントの導入を検討している企業にとって、実際の成功事例は非常に参考になります。ここでは、具体的な導入目的や得られた効果に焦点を当て、様々な業種におけるナレッジマネジメント活用事例を紹介します。

防災対応での知識共有|国土交通省

国土交通省は、頻発する災害から国民の生命と財産を守るため、職員の防災対応能力向上を目的にナレッジマネジメントを導入しました。課題は、職員が持つ暗黙知の抽出と伝承です。外部委託の増加や人員削減により情報共有の機会が減少していたため、検索や編集が容易なイントラネット用ブログツールを活用しました。

その結果、職員間の防災知識が均一化され、災害時に迅速かつ的確な対応が可能となりました。また、経験差がある職員への効率的な教育も実現し、現場で得た具体的な「気づき」が今後の防災活動に役立つ情報として共有されています。

参照:国土交通省「防災対応力の向上に資する知の伝承について」

参考:etudes「ナレッジマネジメントの成功事例とよくある失敗事例を解説」

電子化やチャットボットでコスト削減|小売業

商品カタログや取扱説明書を紙媒体で発行していたA社では、高額な印刷コストと、印刷後の内容変更が困難な点が大きな課題でした。加えて、既存のチャットボットは高コストで、不要な機能削減による効率化を目指していました。そこで、クラウドサーカス株式会社の電子ブックツール「ActiBook」とチャットボット「IZANAI」を導入しました。

これにより、紙の削減による企業イメージ向上とサステナブルな取り組みへの貢献を実現しました。ActiBookは直感的な操作性で問い合わせも不要であり、さらにIZANAIは以前のチャットボットと同等の機能を維持しつつ、大幅なコスト削減を達成し業務効率化にも大きく貢献しています。

参考:ActiBook「電子ブック・チャットボットでコスト削減。サステナブルな取り組みにもつながりました|株式会社セイワ様」

社内プロジェクトの動画共有|製造業

化粧品や健康食品を製造・販売するB社では、社内動画の配信作業が煩雑で、再生回数が伸び悩む課題を抱えていました。新商品告知や代表メッセージが十分に伝わらない状況を改善するため、動画アップ作業の簡略化や、営業資料の電子化による商談のスムーズ化、印刷費削減を目指しました。

そこで電子ブック作成ツール「ActiBook」を導入しました。結果として、社内動画の閲覧数が大幅に増加し、レスポンシブ対応によりPC・スマホ・iPadなどあらゆるデバイスで快適に視聴可能になりました。また、営業は紙カタログを持ち歩く必要がなくなり、資料差し替えも容易になったことで、常に最新の情報を提供できるようになっています。

さらに、転送・印刷禁止機能による情報管理強化も実現しました。

参考:ActiBook「ActiBookで社内動画の配信&商品カタログを電子化。動画の閲覧数増加や印刷費の削減、スムーズな商談の実現などさまざまな効果を実感しました|ファイテン株式会社様」

ナレッジ活用で業務効率と顧客満足度を高めよう

ナレッジマネジメントは、業務の属人化や情報の散在、教育コスト増大といった課題を解消し、組織全体の効率化と競争力を高める有効な手法です。適切なツール選定や部門連携、継続的な運用体制の整備が成功の鍵となります。

また、記事内で紹介した電子ブックツール「ActiBook」とAIチャットボット「IZANAI」は、紙資料や問い合わせ対応を効率化し、ROI向上に貢献します。中小企業でも無理なく導入できるため、業務改善やコスト削減を検討中の方はぜひ活用をご検討ください。

執筆者 浦 将平

AIチャットボットのプロダクトマネージャー。

7年間にわたり、法人向けの顧客管理ツール、データ統合ツール、CMS、チャットボット、電子ブックのマーケティングを担当し、BtoB領域でのプロダクトの成長に携わる。マーケティング戦略の立案から実行までを幅広く手がけ、業務プロセスの仕組み化を得意とする。

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