【新機能】回答の一貫性・精度に関する課題を改善する、高度なRAG技術「ナレッジグラフ」を搭載。高精度のチャットボットを作成可能に。

更新日 公開日 2025/07/03

AIチャットボット『IZANAI Powered by OpenAI』で高度なRAG技術「ナレッジグラフ(Graph RAG)」を搭載したチャットボットの作成が可能になったことをお知らせします。

文脈を理解するナレッジグラフ(Graph RAG)とは?

従来のRAG(検索拡張生成)は、まず質問に関連しそうな資料を検索し、見つかった情報をもとに生成AIが回答を作成する仕組みです。Graph RAGはこの検索ステップをさらに高度化したアプローチで、文章中に含まれる「人・組織・製品・日時」などのエンティティをノード(点)として結びつけ、“知識の相関図”とも言えるナレッジグラフをあらかじめ構築します。

質問が入力されると、まずベクトル検索で初期的に関連度の高いテキスト片を取得、そこに登場する主要なノードを起点にナレッジグラフ上で多段階の探索を行います。この探索では、因果関係や階層構造、時系列などを意識した情報の拡張・絞り込みが行われ、文脈的に本質的な情報が選び出されます。その結果を要約し、LLMに渡すことで、より論理性のある、背景まで踏まえた応答を実現します。

このようにGraph RAGは、単なるキーワード類似による検索では対応が難しい「なぜそうなるのか」「どのような関係があるのか」といった質問にも対応可能であり、構造的なナレッジを扱う業務用途において特に高い効果を発揮します。

従来のRAGの課題

従来のRAG(検索拡張生成)では、資料を細かく分割し、質問と「似ている」テキストを上から順にいくつか取り出して回答を生成します。しかしこの方法にはいくつかの課題がありました。

まず、文章同士のつながりが失われるため、因果関係や時系列、階層構造といった文脈的な情報がうまく捉えられないこと。また、見た目は似ていても質問の意図とは異なる情報が混ざりやすく、回答のブレや誤解を生む原因にもなっていました。さらに、取り込むテキストの量が増えるほど処理負荷が高まり、回答までに時間がかかる、コストが増えるといった実用面での制約もありました。

Graph RAGは、こうした問題に対して「関係性を意識した検索」と「情報の要約」という二段階のアプローチを採用しています。はじめに、質問に関連する種(シード)となる情報を検索し、そこからグラフ構造を用いて因果関係や関連性のある情報だけを絞り込んで取得。この絞り込まれた情報を要約し、AIが回答に活用します。

このような流れにより、処理の効率性と回答の精度を両立し、FAQの網羅性や回答の一貫性といった従来の課題を大きく改善。特に複雑な業務知識や手順書の対応において、高精度なチャットボット運用を実現します。

ナレッジグラフ(Graph RAG)が得意な領域 / ユースケース

Graph RAGは、情報間の関係性や構造を活かして、より文脈に即した応答を実現する検索・生成手法です。特に、複数の項目が複雑に絡み合い、横断的な参照や階層的な整理が必要とされるユースケースにおいて、その強みが際立ちます。

たとえば、製品マニュアルや法令文書のように多層的な参照関係がある資料群、あるいは業務フローや社内手続きのように情報が階層化・網羅化されているナレッジベースでは、単純なキーワード一致ではたどり着けない深い文脈や背景を踏まえた回答が可能になります。質問の背後にある意図や因果関係を理解しながら、必要な情報だけを的確に選び出して応答する能力が、Graph RAGの大きな特徴です。

さらに、分野をまたいだ複雑なネットワーク構造を扱う場面――たとえば、学術論文における引用関係、臨床医療における病理・症状・治療の因果構造、サプライチェーンにおける部品・サプライヤー・品質記録の多段階関係などでもGraph RAGは優れた効果を発揮します。情報の背後にある「つながり」や「構造」を理解したうえで最適な断片を選び出すことで、より精緻で一貫性のある回答生成が可能になります。

ナレッジグラフ(Graph RAG)が苦手な領域 / ユースケース

Graph RAGは、情報間の関係性を構造的に捉えて深い文脈理解を行う一方で、すべてのユースケースに万能というわけではありません。

たとえば、図表やフローチャートを中心とした技術マニュアルのように、情報が視覚的に整理されているコンテンツに対しては、その構造や意味が文章として明示されていないため、グラフ化や内容の正確な理解が難しくなります。図中の配置やアイコンの意味など、視覚要素に依存した文脈はテキスト処理だけでは捉えきれないケースが多く、回答精度が下がる傾向があります。

また、リアルタイム性が求められる情報、たとえば最新のニュースやSNSの投稿などにおいては、情報更新の頻度が高いため、静的に構築されたナレッジグラフを常に最新状態に保つことが難しくなります。このような領域では、従来の全文検索やベクトル検索とのハイブリッド運用が現実的かつ効果的です。

さらに、FAQの件数が少なく、シンプルな定型応答が中心となるケースでは、Graph RAGの構築にかかる前準備やコストがかえって過剰になる場合もあります。こうした場面では、シナリオベースのチャットボットや従来型の軽量なRAG手法で十分に対応できることが多く、Graph RAGは必ずしも必要ではありません。

IZANAI Powered by OpenAIとは?

IZANAI Powered by OpenAIは社内外における繰り返し発生する質問対応の負荷を軽減し、誰でも簡単に導入できる価格帯を実現したAIチャットボットです。PDFやExcel、WebサイトのURLといった既存の情報ソースを登録するだけで、AIが内容を理解し、自動で最適な回答を生成する仕組みを備えています。RAG(Retrieval Augmented Generation)技術をベースにしており、精度の高い応答と情報の信頼性を両立させ、業務効率化とユーザー体験の向上を同時に支援します。

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