社内問い合わせの業務改善ガイド|効果的な5つの施策とツールの選び方を解説
公開日 2025/11/12
社内問い合わせ対応に追われ、本来の業務に集中できない、同じ質問が繰り返し寄せられる、特定の担当者しか対応できない属人化が起きている──こうした課題に頭を悩ませる企業担当者も少なくありません。
問い合わせ業務の効率化は、業務負担を軽減するだけでなく、従業員の生産性や満足度向上にも直結します。
そこで本記事では、社内問い合わせが増え続ける原因を整理するとともに、社内FAQやマニュアル整備、チャットボット導入などの具体的な改善方法を解説します。ツールの選び方や導入時の注意点、さらに実際の成功事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
社内問い合わせが増える3つの原因
まずは、なぜ社内への問い合わせが増えてしまうのか、その主な3つの原因について整理していきます。
原因1:マニュアルやFAQが整備されていない
マニュアルやFAQが整備されていない、あるいは情報が分散・古い場合、社員は必要な情報にたどり着けず、問い合わせが増加します。内容が古ければ誤解を招き、「自己解決ができずに再度問い合わせる」といった二度手間が発生します。
また、検索性が低い、難解すぎる、設置場所が分かりづらいといった点もマニュアルの利用を妨げる要因です。結果として「直接聞いたほうが早い」と判断され、マニュアルやFAQが形骸化してしまいます。
原因2:情報が属人化している
特定の担当者しか分からない知識や業務が多いといった「属人化」が進むと、問い合わせがその人に集中し、対応が遅れたり品質にばらつきが生じたりします。担当者が不在・休暇・退職した際には業務が停滞するリスクも高まり、組織全体の生産性低下につながります。
たとえば特定ツールの操作方法を、社内で一人しか把握していない状況などが典型例です。属人化を防ぐには、マニュアル整備やナレッジ共有の仕組みを導入し、業務を標準化する必要があります。
原因3:問い合わせた方が早いという文化になっている
「マニュアルを見るよりも聞いた方が早い」「問い合わせ対応は担当者の役割」という文化が根付いていると、社員が自ら調べて解決する意識が育たず、問い合わせ件数は減りません。結果として担当者の負担は増え、組織全体の生産性も下がってしまいます。
この状況を改善するには、自己解決を促す仕組みを整えるとともに、問い合わせが相手の時間を奪う行為であることを周知し、全社的に意識改革を進めることが重要です。
社内問い合わせ業務を改善する5つの方法
では、社内問い合わせをどのように効率化できるかを見ていきましょう。ここでは、特に効果的な以下の5つの改善方法を紹介します。
- 社内FAQ・ナレッジベースの整備
- マニュアル・手順書の標準化
- チャットボット・AIアシスタントの導入
- 問い合わせ管理システムの活用
- 社内コミュニケーション改革
方法1:社内FAQ・ナレッジベースの整備
社内問い合わせを効率化するには、FAQやナレッジベースを整備し、社員が自己解決できる仕組みを用意することが重要です。よくある質問や業務ノウハウを集約することで、探す時間を短縮でき、特定の担当者への依存を軽減できます。
また、検索性の高いFAQシステムやチャットボットを導入すれば、必要な情報にすぐアクセスでき、自己解決の機会を増やせます。わかりやすく使いやすい環境を整えることで、問い合わせ削減と業務効率化の両立が可能です。
参考:社内FAQを効率化!AIチャットボット導入で実現する業務改革
方法2:マニュアル・手順書の標準化
業務手順やルールを標準化することで、誰が対応しても一定の品質を保つことができます。古い情報や散在する資料では、社員が自己解決できず、問い合わせはなかなか減りません。
標準化するためには、マニュアルや手順書を一元管理し、定期的に更新することが重要です。マニュアル作成ツールを活用すれば、操作手順や申請方法を効率的に整理でき、業務の統一化と問い合わせ削減をよりスムーズに実現できます。
方法3:チャットボット・AIアシスタントの導入
チャットボットやAIアシスタントを導入すれば、定型的な問い合わせを自動化でき、24時間即時に回答する環境を整えられます。これにより担当者に集中していた負担を軽減し、属人化の解消や業務効率化につながります。
社内FAQと連携すれば、よくある質問を自動で案内できるため、自己解決率の向上にも有効です。利便性の高い仕組みを整えることで、社員のストレスを減らしつつ、生産性を向上できます。
参考:問い合わせ対応向けのチャットボットとは?導入のメリットやサービスの選び方を解説
方法4:問い合わせ管理システムの活用
問い合わせ管理システムを導入すると、問い合わせ内容や対応履歴を一元管理でき、対応漏れや重複対応を防止できます。進捗や担当者の割り振りを可視化できるため、効率的で確実な対応が可能になる点も魅力です。
また、蓄積したデータを分析すれば、よくある質問や改善すべき業務プロセスが明確になり、組織全体の業務改善にもつながります。属人的な対応から脱却し、継続的に質の高いサポート体制を構築できます。
方法5:社内コミュニケーション改革
社内問い合わせを根本的に減らすには、情報共有の仕組みや文化そのものを見直すことが欠かせません。閉じた情報管理や「聞いた方が早い」という意識が残っていると、属人化や負担集中が解消されません。
FAQやチャットボットの活用に加え、問い合わせルールの周知や窓口の一本化を徹底することで、オープンな情報共有を推進できます。全社員が「まず自己解決」という共通認識を持つことが、問い合わせ削減と業務効率化の第一歩です。
問い合わせ業務改善に役立つツールの選び方と注意点
問い合わせ業務を効率的に改善するには、適切なツールの活用が大切です。
本章では、業務改善に役立つツールの選び方と、導入時に押さえておきたい注意点について解説します。
FAQシステム・チャットボットの特徴と違い
問い合わせ業務改善に役立つ代表的なツールとして、「FAQシステム」と「チャットボット」があります。
FAQシステムは、よくある質問と回答を一覧化して検索できるため、社員が自己解決しやすい環境を整えられます。ただし、情報量が増えるほど更新や管理の手間が増える点には注意が必要です。一方、チャットボットはチャット形式で利用されやすく、会話の流れで疑問を深掘りできるため、解決方法へ自然に誘導できるのが特徴です。
両者の強みと課題を理解し、自社の課題に合ったツールを選定しましょう。
参考:チャットボットとFAQの違いとは?両者を連携させる方法も解説
問い合わせツール選定のポイント
ツールを選定する際は、まず自社の課題や業務フローを明確にし、それを解決できる機能を備えているかを確認することが重要です。
また、価格や機能の多さだけで判断せず、「ITが苦手な社員でも直感的に操作できるか」「導入後に十分なサポートが受けられるか」といった点も欠かせない選定基準となります。
さらに、対応チャネルや履歴管理、分析機能など、業務改善に直結する要素についても比較検討する必要があります。特に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 対応可能な問い合わせチャネルの種類
- 過去の対応履歴を参照できるか
- 問い合わせの自動振り分け機能があるか
- データの集計・分析機能があるか
- 社内ナレッジの共有・活用がしやすいか
- 操作のしやすさや導入後のサポート体制があるか
目的意識を持ち、複数のツールを試用・比較することで、自社に最適なシステムを導入しやすくなります。
問い合わせツール導入時の注意点
ツールを導入する際は、運用後の定期的な情報更新や社員への周知・教育が欠かせません。導入目的や具体的な使い方を社内に明確に伝え、まずは一部の部署で試験的に運用するなど、スモールスタートで取り組むのが効果的です。
使用状況や問い合わせ削減効果を定期的に測定し、改善策をPDCAサイクルで回せる体制を整えることで、導入の成功率を高め、長期的な運用定着につなげられます。
その問い合わせ、AIが答えます|IZANAI(イザナイ)

毎日の問い合わせ業務に時間を取られていませんか?AIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」は、FAQやマニュアルの情報をもとに、自動で高精度に回答する生成AIチャットボットです。ノーコードで誰でもすぐに導入でき、カスタマーサポートの定型対応を大幅に削減。
人が対応すべき「本当に重要な問い合わせ」に、もっと集中できる環境を作りましょう。
IZANAI(イザナイ)の主な特徴
- 社内資料やWebページを登録するだけで回答が可能
- PDF・Excel・WebサイトのURLなど、複数ソースを同時に学習
- FAQ整備が不十分でも、曖昧な質問に対応
- 面倒なシナリオ設計が不要
- 2週間の無料トライアル可能
参考:FAQを最適化するAIチャットボット|IZANAI Powered by OpenAI
問い合わせツール導入による業務改善の成功事例
実際にツールを活用して、問い合わせ業務の改善に成功した企業の事例を紹介します。
以下の2社は、クラウドサーカス社のAIチャットボット「IZANAI(イザナイ)」と電子ブック「ActiBook(アクティブック)」を活用し、効率化を実現しました。自社の問い合わせ業務改善の参考として、ぜひお役立てください。
株式会社北豊島園自動車学校|チャットボット導入により問い合わせ件数50%削減
株式会社北豊島園自動車学校では、入校希望者や在校生からの電話問い合わせが多く、事務スタッフの業務負担が大きな課題でした。1日平均10件、月間約300件の問い合わせの8割が電話対応で、1件あたり10〜15分かかる状況が続いていました。
そこでAIチャットボット「IZANAI」や電子ブック「ActiBook」を導入し、24時間自動で質問に回答できる体制を構築。自由入力にも対応する仕組みにより、問い合わせ内容に応じた適切な案内が可能になりました。
その結果、電話問い合わせは約半減し、月25時間の業務時間を削減することに成功。対面接客やメール対応に集中できる環境が整い、顧客満足度も向上しました。今後はWeb更新に連動した自動情報更新を視野に入れているそうです。
参考:月300件の問い合わせを半分に!AIチャットボットで実現した接客に専念できる環境づくり|株式会社北豊島園自動車学校様 | コラム
株式会社はとバス|電子ブックとチャットボット併用で月20%の着信削減
株式会社はとバスでは、顧客が「よくある質問」に辿り着く前に離脱し、電話での問い合わせが多いという課題がありました。これを解決するため、ホームページ上のパンフレットを電子ブック化(ActiBook)し、チャットボット(IZANAI)と併用する施策を実施。
具体的には、ホームページ上でチラシをActiBookとして閲覧できるようにし、最終ページにたどり着く段階で生じる疑問をIZANAIが回答する仕組みを導入しています。
お客様は疑問をその場で自己解決でき、予約もスムーズになりました。その結果、電話着信は月20%減少し、印刷・郵送費も大幅に削減。また、電話がつながりにくいという課題も解消され、お客様の利便性向上と予約センターの業務効率化を両立させています。
今後は電子ブックとチャットボットをさらに連動させ、利用体験の向上と予約数増加を目指しています。
参考:電子ブックのチラシが売上に貢献・同時に数千万円のコスト削減にも成功!チャットボットの併用で月20%の着信を削減 | 株式会社はとバス
問い合わせツールを活用して業務を改善しよう
社内問い合わせ業務は多岐にわたり、対応の遅れや属人化によって業務負担が増えることも少なくありません。
効率化するには、FAQやマニュアルなど、社員が自ら疑問を解決できる仕組みを整えることが重要です。あわせて、マニュアルやナレッジの定期更新や社内周知を徹底することで、仕組みを継続的に活用できます。
さらに、検索性の高いツールやチャットボットを適切に導入すれば、必要な情報にすぐアクセスでき、自己解決を促して問い合わせ件数を減らせます。
自社の課題や状況に合ったツールを選び、業務効率化と従業員の負担軽減、さらには顧客の利便性向上を実現させましょう。